近い将来、春画ブームがくるかも!? 現代アーティストが春画とコラボした「nuranura展2018」が開催中
葛飾北斎「春画」木版画復刻プロジェクト作品発表を記念して、日本画・木彫・映像・パフォーマンス・墨絵・写真・洋画など、さまざまなジャンルの現代アーティストたちによる「春画」をモチーフとした作品展示会「nuranura展2018」が23日まで、秋葉原のThe 1/3rd Galleryにて開催されている。
ゴッホ、モネ、ロートレックなど19世紀のヨーロッパの印象派の画家たちに多大なる影響を与えた浮世絵は、今なお国内外問わず、多数の愛好家を生み出す日本を代表する伝統美術。中でも、絵師、彫師、摺師の三位一体の協力体制から生まれる浮世絵木版画において、彫師・摺師の技術が非常に繊細で高度と言われているのが「春画」だ。美人画や武者絵と異なり、男女が絡み合う様子は、非常に複雑かつ繊細な技術が求められるというわけだ。
同プロジェクトを主催する江戸伝承手摺木版画版元、一般社団法人「萌生堂」の代表理事・坂井英治氏は、「葛飾北斎という江戸時代のみならず日本史を代表するアーティストを介すことで、春画の魅力を幅広く伝えていきたい」と、継続的にイベントや展覧会を開催することを視野に入れている。
「nuranura展2018」には、淺野健一、Etsuko kobayashi、木村了子といった現代アーティストたちが参加しているが、「当初は、復刻した北斎の春画木版画のみを展示する予定だったが、いろいろな切り口で北斎、そして春画の魅力を伝えられればと考え、彼らにオファーしました。現代アートの社会的意義と春画に内在するパワーは、”タブーへの挑戦による新たな価値観の創造や感性レベルの許容を広げる”点において親和性を持っており、本展示においてそれが表現できればと考えています。現在、多くのお客様にご来場いただいており、女性のお客様が多いのが特徴的です」と同展の共同主催及びキュレーションを行った株式会社トーキョー・ダブ・エージェント代表の高木一芳氏が教えてくれるように、現代アーティストたちも「春画」への関心は極めて高いというから面白い。北斎だけでなく、数多の名浮世絵師が春画の魅力に取りつかれていたように、時を越え、現代に生きるアーティストたちすら焚きつけてしまう春画の魅力。そのクロスオーバーした作品を見るだけでも、多くの発見がある展示会と言えるだろう。
春画の展覧は、刑法175条(わいせつ物頒布等の罪)に触れるのではないかといった論争があるが、2015年に永青文庫で本邦初となる「春画展」が開催された際は、予想をはるかに上回る来場者数を記録したほど、人心を掴む魅力に富んでいる(しかもその多くが、「nuranura展2018」同様に女性だった)。
同展覧会に協力する一万点以上の春画を所有する世界一のコレクター、オフェルシャガン氏が「日本人の中に、春画=恥ずかしいものという認識が残っているが、世俗を春画という形で切り取った日本文化に、世界は驚きと称賛を持っている」と語るように、
生みの親である日本人が春画のメッセージ性をより理解することは大切だろう。
何かと息苦しい日本社会において、過去の日本史から学ぶことはたくさんある。現代とはまるで違う生活観や価値観の中で暮らしていた江戸時代。その風俗を描いた春画から何を感じ、何を得るか――。縄文や日本史がブームに沸く中にあって、春画は日本人のルーツを探る新たなコンテンツになる可能性を秘めている。
nuranura展2018
【日時】~9月23日(日) 12~20時まで
【会場】The 1/3rd Gallery(東京都千代田区外神田4-9-2 千住ビル5 –2階)
【料金】入場無料(※18歳未満は入場禁止)
【URL】http://www.nura2.com/