
vol.347
TOKYO MOVE UP!
「東京から日本を元気に」するプロジェクトをTOKYO HEADLINEがサポート。東京の気になるトピックスをご紹介。
ECO×PAPER 森を守る最新スタイルが進行!
エコペーパー最前線
再生紙問題で揺れる製紙業界。古紙の配合比率を偽装したことで、再生紙に対する信頼が損なわれた。もともと環境に配慮した紙として登場したと思われていた再生紙。根底にはどのような問題があるのだろうか。
2008年1月17日、日本郵政グループが再生紙を使った年賀はがきについて、古紙の配合率が基準を下回っていたことを発表。当初は、年賀はがきだけの問題と思われていたが、その後、製紙業界全体がかかえる問題であることが明らかになっていった。
2月20日には、製紙大手各社が社内調査の結果を公表。ある製紙会社では、古紙の高配合品が登場した1980年代ごろから偽装があったとした。特に拡大したのは5年ほど前。中国を中心とした海外で古紙の需要が高まり、国内で古紙の不足が起こったのだ。古紙の価格が急騰する中、白い紙を求める厳しい品質要求と、過熱する受注競争が再生紙の問題を悪化させていったのだ。
新聞報道によると、この対応として古紙配合比率を「○○%」と実数で表示し、あわせて工場への抜き打ち的な立ち入り検査を行い、今夏をめどに不正防止策の運用を開始するとのことらしい。どのくらい含まれると再生紙と呼ぶのかという定義は市場に任せることになった。信頼回復への道のりは険しいが、その一歩を踏み出すことになる。
ここで気になるのは古紙100%。古紙といっても永久にリサイクルできるわけではない。それはリサイクルを繰り返すたびに、繊維が弱くなっていくためだ。さらに古紙を用意するには新しい紙を販売して、回収しないといけない。つまり新しい紙を作り続ける必要もあるのだ。この疑問を、紙製品メーカー大手の山櫻 広報室の内田芳嗣氏に話を伺った。
「古紙100%で紙を作ることはできます。ただし、それが環境に優しいかどうかはイコールとはいえません。紙のスペックにもよるのですが、古紙から紙を再生する場合、バージンパルプ(木材)から紙を作るより多くの化石燃料が必要になることがあります。また、バージンパルプでは製造時に黒液が得られます。これを燃料として利用できるため、化石燃料の消費を抑えられます。一方、古紙の場合、この黒液が含まれないため、化石燃料の消費量が多くなってしまうのです」とのこと。100%古紙が必ずしも環境に優しいわけではない。
紙についての環境問題では、森林破壊とCO2の排出が大きい。古紙だけでは、この環境問題を解決できない。その一方で、リサイクルの観点で考えると、古紙は有用であることは分かっている。そう、バランスが重要なのだ。あまりに100%にこだわりすぎると、環境問題の本質から外れるような気がしてきた。
だからといって古紙の配合率を偽装した製紙業界の行為は許されるものではない。この偽装問題は、古紙に対する考え方を改めるきっかけにもなった。どのように判断するかは市場にゆだねられている。
この問題が明らかになる以前より山櫻では、すでに環境への配慮をさらに一歩推し進めた新しい紙作りを開始していた。
環境に配慮したバージンパルプの紙製品
森を守り育てる
○…WWFによると、日本で紙などに使われる輸入木材のうち約2割が違法伐採によるということらしい。この違法伐採は、森林自体の管理を認証するFM認証(Forest Management)で防ぐことができる。植林して木を育てて伐採する。このように森林を管理することで、環境に優しい木材が生産できる。ここから一歩進めたのが加工・流通過程の管理を認証するCoC認証(C
hain of Custody)。FM認証された森林から伐り出された木材が、加工、流通の段階で他の木材と混ざることなく管理されていることを認証する制度だ。この2つの認証により、環境に優しい紙製品が作られている。この紙製品にはFSC認証が与えられている。
間伐材を利用
○…森林が成長するにしたがって、林が過密になってくる。そのままにしておくと、日光が地表まで届かず木の生長に悪影響を及ぼしてしまう。そのため、木々の一部を伐採して森林を健全な状態に保つのだ。この伐採された木を間伐材と呼ぶ。この間伐材を紙の原料にする取り組みが始まっている。紙製品全体から考えると、まだ量は少ないが、新しいエコペーパーのスタイルとして注目を集め始めている。山櫻では、この間伐材を含んだ名刺や封筒を販売。CO2削減に一役買っている。
このように古紙にこだわらない、環境に優しい紙作りが始まっているのである。
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