
vol.359
「静かなる革命」なるか!? 消費者庁の素案発表
政府の消費者行政推進会議(座長・佐々木毅前東大総長)は21日の会合で、福田康夫首相が来年度の創設を表明した消費者庁について、目指すべき役割や組織形態を盛り込んだ最終報告素案を示した。縦割り行政の弊害で行政が対応しなかった消費者被害をなくすために新法を制定し、消費者の視点に立った行政への転換を目指す方針を打ち出した。
素案によると、消費者庁は内閣府の外局とし、消費者行政の司令塔として「全般にわたり強力な権限と責任」を持つ。トップとして消費者行政担当相を常設し下部組織に有識者による委員会を設ける。行政がとった対応を消費者の視点から評価し意見を具申する。
国民の消費に関する相談窓口を一元化し、国民生活センターや地方自治体の消費生活センターとの連携を強化する。情報分析官を配置し消費者保護の観点から危険情報などの発信機能も担う。悪質商法で得た違法収益を国が剥奪(はくだつ)して被害者を救済する新法の制定も検討する。
推進会議は6月上旬にも最終報告をまとめ、政府は移管する法律などを明記した基本計画を策定した上で閣議決定を行い、関連法案を秋に想定される臨時国会に提出する方針だ。
福田首相が「静かなる革命」の一つに挙げる消費者庁の成否のカギは、縦割り行政の弊害で埋没してきた事故情報などを吸い上げる窓口一元化の実効性確保と、既得権益を奪われかねない省庁の抵抗阻止の行方にある。
首相は同日、首相官邸で会談した増田寛也総務相が地方自治体の消費生活センターへの予算の拡充を求めたのに対し、「地方の体制をよくするためにやろう」と述べ、財政支援の強化に前向きな姿勢を示した。
同日示された素案では、縦割り行政の弊害排除のために省庁横断的な法体系の構築も盛り込まれた。
この日、消費者行政推進会議に先立ち開かれた自民党消費者問題調査会では、シンドラー社製エレベーターによる死亡事故の遺族を前に、国土交通、経済産業両省が所管の「なすりあい」をする一幕があった。事務局長の後藤田正純衆院議員は「まさに縦割りだ」と批判した。
事実、消費者庁に権益を奪われる省庁側の抵抗はなおも根強い。後藤田氏は「役所の人は国民に見放されないように、変な根回しには十分気をつけてほしい」とも牽制した。