
vol.359
基礎年金を「税方式」にすると消費税が18%になる!?
政府は19日、現在、保険料を中心にまかなわれている基礎年金を全額税金でまかなう税方式にした場合の財政シミュレーションをまとめ、社会保障国民会議の雇用・年金分科会に提示した。税方式にした場合、追加的に必要となる税財源は2009年度時点で9兆〜33兆円で、これをすべて消費税でまかなうと、消費税率は現行税率分などを含め9.5〜18%まで引き上げが必要となることが分かった。年金財源に消費税率引き上げ分の大半を回すことになれば、医療や介護保険の給付増に対する財源手当てを別途検討せざるを得ず、今回の試算は、税方式導入のハードルの高さを印象付ける結果となった。
試算は、与党内や日本経団連など各団体の税方式をめぐる各案について、50年度までの財政を試算した。
現行制度の保険料納付分と税負担分を上乗せ支給する場合では、制度を移行する09年度時点での追加税額は33兆円となり、消費税率換算で12%の引き上げが必要なことが分かった。
最も追加税額が少なくて済む、現行制度で未納期間があった人を減額するケースを採用しても3.5%アップしなければならない。ただ、このケースでは、無年金者や低年金者がなくならないことも分かった。
これらの追加税額分と、現行税率5%分や制度移行前に国庫負担を2分の1に引き上げるための1%分を合わせると税率はトータルで9.5〜18%となる。
一方、家計への影響では、サラリーマン世帯では収入に関係なく消費税負担の増額分が保険料の減額分を上回り、実質負担増になる。一方、負担減の恩恵の大部分は保険料の労使折半分がゼロになる企業が享受する。2009年度でみると、現行制度で企業が負担していた保険料の総額約3兆〜4兆円が丸々負担減となる形で、家計に負担が押し付けられる実態が浮き彫りとなった。
消費税は高齢化社会の進行で膨らみ続ける医療や介護保険をはじめ、少子化対策など他の社会保障政策の財源としても期待されており、年金給付の拡大のためだけに税率を大幅に引き上げることに国民の理解が得られるかは不透明だ。
国民会議は6月に中間報告をまとめる予定だが、今後の議論は社会保険方式堅持に傾くことも予想される。