
vol.359
東京ヤクルトスワローズ応援特集
「東京」を背負う男たち。
2008年の東京ヤクルトスワローズはすべてが新しい。高田新監督を迎えたチームは戦術、メンバーを一新し、全員野球でセ・リーグの台風の目になっている。シーズン序盤戦を終え、交流戦前の成績はリーグ3位。豊富な戦力を抱える上位球団に必死のプレーで立ち向かっている。リニューアルした神宮球場でフレッシュな風を吹かせているスワローズを、東京人なら応援するのが当たり前。今こそ、「東京」を背負う男たちにエールを送ろう!
宮本慎也
37歳のベテラン・宮本慎也が元気だ。世代交代が進む中でもほぼ全試合に出場し、打率も3割をキープ。大健闘の序盤戦を語るうえでは欠かせない活躍を見せている。北京五輪を控え、代表主将としても期待が寄せられている宮本に、新生スワローズの「いま」を直撃。
「スワローズはこの先、
本当に強いチームになる可能性を秘めています」
―スワローズのこれまでの戦いを振り返っていかがですか?
「今シーズンはメンバーがガラっと変わりましたけど、『このままやっていたらまた最下位だ』という危機感は全員が持っています。上位に食い込むには、とにかく必死にやらないといけない。そういう気持ちでやってきた結果、今のところは何とか粘れているというのが印象ですね」
―高田新監督の印象は?
「優しい顔をされていますし口調も穏やかですけど、勝負に徹する時の厳しさは感じます。やはり経歴が浪商、明治という厳しい高校と大学でやられていた方なので、そんなに優しいことはないというのは想像していましたよ(笑)。高田監督は守りを中心とした野球をされていますが、ウチが上に食らいついていくにはこれしかないという形ですね」
―若い選手も多い中、キャプテンとしてチームをまとめる大変さはありますか?
「みんな真摯に野球に取り組んでいるので、僕が大変なことは特にないですよ。ただし、これを1年間続けていくことが大切なんです。例えばここで阪神や中日にポンポンと勝ったからといって、現時点でそれが強いことにはなりませんから。重要なのは決して油断することなく、少ないチャンスをものにしていくゲームを続けることだと思います」
―今シーズンは打率も3割キープと好調を保っています。
「レギュラーである以上は成績でもチームを引っ張りたいという意識でやっています。オフは五輪予選があったので例年よりも計画的なトレーニングはできませんでしたけど、キャンプはいい過ごし方ができましたし、結果が出る準備をすることだけは心がけています」
―五輪についての意識は?
「正直なところ、頭の片隅にはあります。ぼやっと『どうなるかな』と考える程度ですけどね。やはり代表には選ばれたいですし、今はそうなるようにチームでしっかりとした成績を残すことに集中しています」
―それでは最後に、今後の抱負をお願いします。
「全力で勝つ努力をしている姿をシーズン終了まで見せたいと思っています。スワローズはいい選手がそろっていますから、この先、本当に強くなる可能性を秘めています。まだまだ発展途上のチームですが、ファンの方には期待半分、不安半分で成長する姿を見守っていてほしいですね」
石川雅規
昨年秋から投手キャプテンを務める石川雅規は3〜4月、自身初の月間MVPを受賞。名実ともに投手陣を背負って立つ存在となった。昨シーズンの不本意な結果から、見事すぎる復活劇。その裏にはどんな思いがあったのか、167cmの「小さな大エース」に話を聞いた。
「『大きい人には負けない』。
この気持ちがなくなったらダメだと思います」
―まずは昨シーズンの感想から聞かせてください。
「去年は出だしでつまずいてしまいました。ファームに長くいた経験も初めてだったので、自分自身すごく悔しいシーズンでした」
―オフには母校・青学で走り込みをされたそうですが。
「初心に戻ろうということで青学を選びました。僕も走り込みは好きじゃないんですけど、改めてキツい練習をすることで精神的にも強くなりたかったんです。やはり去年のような経験はもうしたくないですから」
―投手キャプテンとして投手陣をけん引する立場にもなりました。
「一番経験のあるのは僕なので、何とか結果で引っ張っていきたいですね。先発としてマウンドに立ったら、1イニングでも打者1人でも、1球でも多く投げたい。去年中継ぎを経験したことも、この気持ちをより強くさせてくれました」
―経験を重ねるごとに、エースとしての責任感が高まっていると。
「そうですね。最初は学生野球の延長でやっている感覚でした。それがある時、青学の先輩である小久保さんと話しをする機会があって、『野球選手はやれて10年。その間に頑張らなくていつ頑張るんだ』ということを言われてから考え方が変わったんです。せっかくプロの世界でチャンスをいただいているわけですから、その間は後悔しないように一生懸命やっていこうと思っています」
―これまで人一倍の努力で体格的なハンディをカバーされてきたと思いますが、精神面での支えになるものはありますか?
「自分の家族もそうですけど、お子さんから『石川さんは小さくても頑張ってるから、僕も頑張ります』というようなファンレターをもらうと励みになりますよね。『大きい人には負けない』という気持ちがなくなったら僕自身ダメだと思いますし」
―やはり大柄な外国人バッターを打ち取った時は快感ですか?
「気持ちいいですねえ。それも三振じゃなく内野ゴロに仕留めるのが楽しいんです。狙ったところに投げて相手が引っ掛けると、『よし、術中だ』みたいな感覚になりますよ」
―今後もスワローズを象徴するような“大物斬り”に期待しています。
「投手陣もいい雰囲気ですし、スワローズは新しい野球を見せています。今年は何とか上位に食らい付いていきたいと思っていますので、みなさん応援よろしくお願いします!」
由規
甲子園で156キロをマークし、鳴り物入りでスワローズ入りを果たした由規。プロ生活がスタートしてから4カ月が経ったいま、彼はファームで奮闘中だ。将来のスワローズを担う右腕が語る「プロ1年目」とは…?
豪速球ルーキーがプロ生活を独占告白
「プロの世界を思い知らされた4カ月でした」
これまでの4カ月間は、プロの世界を思い知らされた期間でした。
キャンプでは一軍で約1カ月やらせていただきましたけど、「自分をアピールしなきゃ」という気持ちが強すぎて、結果にこだわるあまり空回りしてしまいました。
初登板した練習試合(楽天戦)では、ガムシャラにやる姿勢が良い方向に出たと自分でも思っています。その試合では相手を抑えることができましたが、その後は「抑えたから次も」という変な力みが生まれてしまったことが反省点です。
これまで納得のいくピッチングはできていませんが、一方では手応えもありました。僕の持ち味である速球をしっかりコントロールして、キャッチャーが構えたところに投げられれば簡単に打たれないことが明らかにはなったと思います。ただしこれも、中に入ってしまったりストライクが入らなかったりすると、勝手に点数が入っていってしまう。一軍ではクセを狙い打たれることもあったので、やはり今までのアマチュア野球とは比べ物にならない場所だと実感しました。
一番の課題は投球術ですね。今はコントロールに意識を置いて、ファームで必死にやっているところです。少しずつファームで投げさせてもらえる数も増えてきていますから、まずはここでしっかり結果を残すことに集中しています。
スワローズはみなさんもイメージされている通り、若い人も多いので居心地のよさを感じるチームです。キャンプインの時は正直、不安もありました。でも実際に始めてみると、1年先輩の増渕さんをはじめ、先輩方が野球や私生活のことなどを教えてくれたので、すぐにチームに溶け込むことができました。寮生活も初めての経験だったのですが、環境は最高ですね。食事がおいしいから食べる量は増えましたし、高校時代より密度の濃い練習もできています。この結果、たった4カ月で自分でも分かるぐらいに体つきが変わりました。
もちろん生活は野球中心ですけど、リラックスもしっかりできています。休みの日は電車で東京まで行くこともありますし、この前は初めて六本木ヒルズにも行きました。まだ“お気に入り”といえるような場所はないので、東京はまだ探っている段階ですね。
ただ私生活よりも、今は少しでも早く「由規は変わった」と思っていただけるようなピッチングを見せたいです。僕も中途半端な気持ちでプロに入ったわけではないですから、一軍で1勝という目標に向けて、ピッチングの質を高めていきたいと思っています。