
vol.360
江東区の女性不明事件で同じ階の男を逮捕
東京都江東区潮見のマンション9階の自室から4月、会社員女性(23)が帰宅直後に行方不明となった事件で、警視庁捜査1課は25日、暴行目的で女性宅に侵入した住居侵入容疑で、同じ階の2軒隣りに住む派遣社員、星島貴徳容疑者(33)を逮捕した。
調べでは、星島容疑者は4月18日夜、東城さんの帰宅直後に室内に押し入って台所の包丁で脅し、歩かせて自室に引き込んだ。騒がれたため、すぐに殺害したという。
捜査1課は直後に帰宅した東城さんと同居している姉からの通報でマンションを捜索。出入りを監視する5台の防犯カメラに東城さんが連れ出された形跡がないことなどから、マンション内にいる可能性が高いとみて18日夜、マンション内の聞き込みを開始。捜査員が星島容疑者宅に聞き込みに行った際、玄関先で関与を否定しながら応対。しかし翌19日朝までの間に数回、捜査員が訪れたときは、インターホンに応答しなかったという。翌19日から住民の協力を得て全150戸内を任意で調査。星島容疑者も19日午後にようやく応答して捜査員が同容疑者宅に入り、任意でトイレや天井裏を調べたが、手がかりは見つからなかった。
しかし、周辺の聞き込みなどから、当時9階に星島容疑者と東城さんしかいなかったことが判明。全住民の協力で採取した指紋を照合したところ、東城さん宅から容疑者の指紋を検出、追及したところ暴行目的の侵入を認めた。捜査本部は室内を調べるまでの短時間に遺体を切り刻むなどしていたとみている。星島容疑者は警視庁の聴取には当初から協力的。東城さんについては「知らない」などと話していたが、最近では「(東城さんに)会釈したことはある」とあいまいな説明に変わっていた。ただ、この時点では星島容疑者と東城さんの接点が見あたらず、警視庁は星島容疑者の自宅で血液反応などを調べることはできなかった。
星島容疑者は26日には「殺害して遺体を小さく切り刻み、骨も砕いてトイレに流した」などと供述。27日には「包丁で刺して殺した」と供述した。骨などについても砕くなど細分化して一部をトイレに流したほか、遺体の一部は数日に分けて「通勤途中のマンションとは別のごみ捨て場に捨てた」と話していることも判明。捜査本部はトイレの配管を押収するなどして、証言の真偽について調べを進めたが、28日にはマンションの汚水槽から肉片が付着した骨片が見つかっていたことが分かった。捜査本部は東城さんの骨かどうか鑑定を急いだ。
星島容疑者宅の現場検証では、室内の広範囲で血液反応が出たが、血痕は目立たない場所しかなかった。捜査本部は星島容疑者が全戸調査に備え、血をふき取ったとみている。血痕はDNA型鑑定の結果、東城さんと特定された。
渋谷の妹バラバラ殺害事件で「殺人」で懲役7年
東京都渋谷区の短大生、武藤亜澄さん=当時(20)=を殺害、遺体を切断したとして、殺人と死体損壊の罪に問われた次兄の元予備校生、勇貴被告(23)の判決公判が27日、東京地裁で開かれた。秋葉康弘裁判長は、死体損壊罪については「解離性同一性障害(多重人格)で生じた別人格に支配され心神喪失状態だった」として無罪としたが、殺人罪については完全責任能力を認め、懲役7年(求刑懲役17年)を言い渡した。多重人格を理由に心神喪失を認めた司法判断は極めて異例。
争点は犯行時、勇貴被告が多重人格に支配された心神喪失状態だったか否か−に絞られていた。鑑定医の東京女子大の牛島定信教授(精神医学)は「生来の(対人関係をうまく築けない)アスペルガー障害、中学時代からの強迫性障害に加え、犯行時は解離性障害を発症していた」との鑑定結果から「殺害時は心神耗弱、遺体損壊時は心神喪失状態」との見解を示していた。
秋葉裁判長は、鑑定結果について「手法や判断は合理的で信頼できる」と指摘。その上で死体損壊について、左右対称に15の部位に解体した行為が「本来の人格とは違う獰猛(どうもう)な別人格を仮定しないと説明がつかない」とした鑑定結果を支持した。
犯行時の記憶がないことなどから、本来の人格が別人格を認識していないとして「別人格に支配されて自分の行動を制御できなくなっていた」と判断、心神喪失状態だったとした。
一方、殺害時は、「障害の影響で怒りを抑える力が弱まっていた」としながらも、直前までトラブルもなく日常生活を送っていたことなどから「責任能力に影響するほどではない」とし完全責任能力を認めた。