
vol.360
G8環境相会合 米に配慮し数値目標を示せず
7月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)の前哨戦と位置づけられたG8環境相会合で、議長を務めた鴨下一郎環境相は「G8でより連携が深まり、方向性は一致した」と成果を強調した。だが、米国への配慮から議長総括は草案段階から大幅に後退し、地球温暖化問題をめぐり合意形成に向けたハードルの高さを改めて浮き彫りにした。
「自信はない…」。議長総括で、2050年に世界の温室効果ガス排出量半減での合意を盛り込めるか、との問いに政府関係者は25日夜、こう語った。「50年半減」は昨年の独ハイリゲンダムサミットで日本が提案し、G8は「真剣に検討する」ことを申し合わせた。議長総括の草案では「洞爺湖サミットでの合意を望む」との表現を軸に調整した。
だが、米国への配慮から最終的には「多くの国は」と総意ではないことを断ったうえで、「強い意思を表明した」などとのあいまいな言い回しにせざるを得なかった。その際の先進国の責務についても、草案にあった「50%を上回る」との文言を削除し「大幅な削減」という表現にとどめた。こうした経緯を踏まえてか、米国は最終日の共同記者会見で「この会合は交渉の場ではない。あくまでも意見交換だ」と強調した。
2013年以降の国際的枠組み(ポスト京都議定書)に向けて日本が主張する産業や分野別に削減可能性を積み上げるセクター別アプローチについて、鴨下環境相は25日夕の討議終了後、報道陣に「理解が進んだ」と胸を張った。
しかし、同日行われた欧州連合(EU)欧州委員会のデルべーケ環境総局副総局長は「まず国の削減目標を決め、その後に産業別に配分するものだ」とくぎを刺した。日本の産業界や経済産業省は、逆に同アプローチを使うことで「公平な国別総量目標が決まる」と考えており、日・EU間の見解の違いが浮き彫りになった。
議長総括ではまた、排出削減に向けた経済的手法にも言及したが、環境税や排出量取引には踏み込めなかった。鴨下環境相は「それぞれの国情があって、完全に意見が一致していない」とその理由を説明した。だが、経済手法をめぐっては環境、経済産業両省で意見が異なるのが実情で、議長国・日本は国内外で困難な調整を迫られる。
(ビジネスアイ)