
vol.361
福田首相が北京五輪開会式出席へ
政府が8月8日の北京五輪開会式への福田康夫首相の出席を内定したことが3日明らかになった。複数の政府関係者が明らかにした。滞在中、米ブッシュ大統領や中国の胡錦濤国家主席らとの会談を検討している。首相は、5月の胡主席来日時にも「事情が許せば前向きに検討していく」と、意欲を示していた。
海外開催の五輪開会式に日本の首相が出席するのは、1988年のソウル五輪の竹下登首相(当時)以来、20年ぶり。北京五輪開会式をめぐって、中国は各国の元首級を招聘してきた。昨年1月には、日本政府に非公式に皇太子ご夫妻の出席を要請。同年4月、来日した温家宝首相が天皇陛下と会い、「ぜひ、陛下と皇族の方々においでいただきたい」と述べた。だが、外務省も宮内庁も「五輪は政治的イベントであり、皇室の政治利用になる」(外務省幹部)と消極的だった。さらに、今年になって未解決の中国製ギョーザ中毒事件やチベット騒乱もあり、現在では「皇族のご出席はありえない」(政府筋)状況。
一方、福田首相は以前から出席に前向き。「皇族以外で中国が満足するのは福田首相しかいない」(政府関係者)との見方もあり、政府内には、「中国に貸しをつくり、いろんな懸案で譲歩を引き出すべきだ」(外務省幹部)と、開会式出席を外交上利用すべきだとの意見もある。しかし、ギョーザ問題やチベット騒乱で及び腰の姿勢が目立つ福田首相の出席には、自民党内から「国民は喜ばないし、世界の笑いものだ」(三役経験者)という厳しい声も出ている。
一方、福田首相はイタリア訪問中の4日午前(日本時間同日夕)にローマ市内のホテルで行われた、同行記者団との懇談の中で北京五輪開会式について「今まで全然考えてなかった。白紙だ。今日あたりから考える。8月8日、その前は広島、後は長崎がある」と語った。
食糧サミットで演説
福田首相は3日から5日まで開かれた国連食糧農業機関(FAO)主催の「世界の食糧安全保障に関するハイレベル会合」(食糧サミット)に出席。
この中で演説した福田康夫首相は、食糧生産性の低い開発途上国への緊急対応として、食糧増産を目的とした約5000万ドル(約52億円)の追加支援と政府保有の30万トン以上の輸入米を放出すると表明した。
すでに日本政府は7月までに総額約1億ドルの緊急食糧援助を実施するとし、福田首相は先月の第4回アフリカ開発会議(TICADIV)で相当部分をアフリカに向けるとしていた。今回の支援はこれに追加するもので、5000万ドルは種子や肥料の供給に活用する。
また、首相は短期的対応として、一部農業輸出国が行っている輸出規制の自粛を呼びかけた。中長期的対応では「各国が自らの潜在的な資源を最大限活用し、農業生産を強化することが重要だ」と強調し、日本も食料自給率の向上を進める考えを示した。また、アフリカでの農業生産能力を高める必要性も訴えた。
このほか、食糧価格高騰は、燃料価格高騰や気候変動、市場の動きが要因であると指摘。バイオ燃料の生産については、食糧供給と競合する場合があるため、植物の茎や木片を原料にした第2世代バイオ燃料の実用化を急ぐべきだとした。