
vol.362
秋葉原のホコテンで17人無差別殺傷
東京・秋葉原の電気街で8日昼、7人が死亡し、10人が重軽傷を負った無差別殺人事件が起こった。歩行者天国の通りにトラックが突っ込み、歩行者数人をはねた後、運転していた男が車から降り、両刃のナイフ(ダガーナイフ)で通行人らを刺した。警視庁万世橋署員らが男を取り押さえ、殺人未遂の現行犯で逮捕した。男は静岡県裾野市、派遣社員、加藤智大(ともひろ)容疑者(25)。
加藤容疑者は取り調べに対し、事件を起こした直接のきっかけについて「(勤務先の)ツナギ(作業服)がなくなり、やけを起こした」と供述。また11日には「正午から歩行者天国になることを知っていた。決意の上での犯行だった」と、明確な殺意をもって犯行に及んだことを認める供述をしていることが分かった。
加藤容疑者は昨年11月から裾野市の自動車工場で勤務。6月5日早朝、工場に出勤した際、自分のツナギが見当たらず、壁をけったり、殴ったりするなどして暴れ、そのまま勤務せずに帰宅したという。
捜査本部の事情聴取に、事件の引き金を「このトラブルです」と一貫して説明。このトラブルがあった翌日の6日、加藤容疑者は「福井市内でナイフを6本買った」とも供述。うち1本は犯行当日の8日朝にゲーム機などとともに同僚にプレゼントしたと説明、残り5本を持って秋葉原に向かったという。
ただ2本は車に置いたままにし、靴下と胸ポケットに1本ずつ入れ、「(犯行には)ダガーナイフだけを使った。靴下のナイフは落としたと思う」と話している。供述を裏付けるように現場交差点から未使用のナイフが見つかった。
また、一連の犯行については「信号は赤で、人を何人かはね、警察官を刺したことまで覚えている」などと話しており、途中から記憶があいまいになっていることも分かった。
加藤容疑者は犯行前日の7日にも、秋葉原の電気街を訪れており、中古コンピューターソフトを売って犯行資金を捻出、さらに歩行者天国の通行量を調べるなど下見したとみられている。
捜査本部は10日、加藤容疑者を殺人未遂容疑で送検した。
一方、司法解剖の結果、トラックにはねられ死亡したのは、7人のうち東京情報大2年の川口隆裕さん(19)東京電機大2年の藤野和倫さん(19)無職の中村勝彦さん(74)−の3人と判明。
調理師の松井満さん(33)無職の小岩和弘さん(47)東京芸大4年の武藤舞さん(21)会社員の宮本直樹さん(31)−の4人は、刺されたことによる失血死だった。
携帯サイト掲示板に予告「秋葉原で人を殺します」
加藤容疑者は事件当日の8日早朝から正午すぎにかけ、携帯電話サイトの掲示板に事件の予告ととれる書き込みをしていた。書き込みは8日午前5時21分に「秋葉原で人を殺します 車でつっこんで、車が使えなくなったらナイフを使います」との内容でスタート。「途中で捕まるのが一番しょぼいパターンかな」などと続き、午前6時31分に「時間だ 出かけよう」。午前11時45分には「秋葉原ついた」。午前11時45分に「今日は歩行者天国の日だよね?」などとこまめに書き込まれ、事件発生約20分前の午後0時10分の「時間です」で、いったん中断。
事件がテレビなどで速報されたことを受け、午後1時過ぎから、ほかの利用者からとみられる「今 ニュースで秋葉原で警察官刺したって」「マジか?」「まさか…ガチ?」といった驚きの書き込みが相次いだ。
これについて加藤容疑者は「ネットの犯行予告に気づいて、誰かが止めてくれればよかった」と供述。被害者への明確な謝罪はない。ただ、「7人が死んだ結果は申し訳ない」と、後悔の念をみせ、結果の重大性を認識し始めているという。
また秋葉原に出発する前には趣味のゲーム機やソフト数本を同僚に譲渡。犯行直前には携帯電話のメール履歴といった全データを消去するなど身辺整理を図っている。捜査本部は最後に掲示板に「時間です」と書き込んだ後、犯行までの20分間で消去して証拠隠滅を図ったとみているが、同容疑者は「周囲に迷惑をかけたくなかった。決意の上での犯行だった」と供述している。