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写真:シュレーゲルアオガエル(井の頭自然文化園の特別展、常設展で撮影)。これらの日本に生息するカエル35種5亜種のうち26種5亜種が日本固有種だ
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vol.362
TOKYO MOVE UP!
「東京から日本を元気に」するプロジェクトをTOKYO HEADLINEがサポート。東京の気になるトピックスをご紹介。
国際カエル年・梅雨時スペシャル
カエルを探そう
世界中で猛威を振るうカエル(両生類)の病気「カエルツボカビ症」が日本でも発見されておよそ1年半。野生下で感染・発症が拡大すれば日本の両生類の多くが絶滅の危機にさらされると言われるこのカエルツボカビ症は、今どうなっているのだろうか。
カエルツボカビ症の今
パナマではカエルの90%以上の個体が失われたといわれている恐るべきカエルの病気、カエルツボカビ症。2006年12月25日に日本で初めて飼育下で感染したカエルが発見され、これを受け翌2007年1月には麻布大学の宇根准教授を中心にネット上でカエルツボカビ症に関する解説書などが設置され、また全国規模でカエルツボカビ症に対する支援制度「コア獣医師制度」を施行するなど、瞬く間に体制が整えられた。それから1年半――。
宇根准教授によると、現在4つの方面で野外調査が進んでおり、もっとも規模の大きかった環境省主導の全国調査では、2007年7月からおよそ5000サンプルを集めて調査を行い、今年3月の生態学会でその結果が発表された。それによると、5000サンプル中13サンプルでカエルツボカビの陽性反応を確認。しかしこれはカエルツボカビ症の発生ではなく、また、これらの例が、もともと日本にあったものなのか、それとも海外からのものなのかも今のところ不明で今後の調査が待たれるところだという。また、海外では高病原性のA型遺伝子のみ発見されたが、サンプルからはA型、同じく高病原性のC型のほか、全部で24タイプの遺伝子型が発見された。この原因究明を含め、すべてはこれからの調査に託されている。しかし、「疫学は最悪の事態を想定して備えるもの」と宇根准教授。
「パナマでは、1980年代にオレンジヒキガエルが“気がついたら”絶滅していた、という事態が起きています。これからは、研究者レベルでの調査ももちろんですが、不審な死を遂げたカエルはいないか、様子がおかしいものはいないかなど、一般の皆さんの協力(モニタリング)も重要です」。
カエルを“守る”
こうした状況を受け、(財)東京動物園協会に所属する上野動物園、多摩動物公園、葛西臨海水族園、井の頭自然文化園の4園では、代表的な日本固有種の飼育・繁殖を目指す「両生類の箱舟」プロジェクトをはじめ、カエルを守るためにさまざまな取り組みを行う。中でも井の頭自然文化園は、もともと国内の水辺の生き物に力を入れており、カエルに関してもユニークな展示を行っている。「カエルツボカビ症をきっかけに、より幅広くカエルに興味を持ってもらいたい」と話すのは、同園の教育普及係長の天野未知さん。ツボカビがなくとも、東京のカエルは生息場所の減少などのために個体数を減らしている。「身近に感じないと守ろうという気持ちを持ってもらえない」と、園内展示のほかに体験イベントも実施する予定だ。また、文化的側面からのアプローチも行っており、7月8日からは小沢一蛙(おざわ・いちかわず)のカエルアイテムのコレクションを一挙に公開。また、昔からカエルは人間の生活に近く、それを反映した文化作品は数多い。「カエルと人のコラボ文化展」では、そんな文化作品を紹介する。「都内でもカエルはまだまだ見ることができます。温かい夜に、懐中電灯を持って近所の公園の湿り気のある土の周りを探してみてください。きっと見つかります」と天野さん。
カエルツボカビ症の発見以前から減少傾向にある両生類。この15年で環境省レッドリストに記載された種は2.5倍に増えた。カエルツボカビ症が広まってしまえば、加速する絶滅への流れを食い止める手立てはない。絶滅の危機にある日本のカエルを救うためには、まずあなたがカエルを身近に感じることが大切だ。雨が降る日は、カエルを思って辺りを見回してみてほしい。それが彼らを守る最初の一歩になる。
■■■■APENDIX■■■■
【ツボカビ】腐生性(腐ったものに取り付き、そこから栄養を得る)の菌類で世界で900種確認されている(日本では200種)。繁殖の際には、鞭毛(べんもう)を持った「遊走子」という運動する胞子を形成する特質を持つ。昆虫や線虫などへの寄生例は観察されていたが、脊椎動物への寄生例は1998年に発見されたアフリカツメガエルの例が初で、一属一種のみ確認されている。遊走子の拡散には水が必要で、逆に言えば田んぼや川などに一旦拡散してしまったら防除することができない。拡散速度は、中米での観測では1年に28kmとされている。
【カエルツボカビ症】ツボカビがカエルに寄生し発症する病気。寄生すると、カエルの体の表面にあるケラチン(たんぱく質の一種)を栄養にするため、カエルの皮膚が異常化する。これによる皮膚呼吸の困難や、ツボカビが毒素を生成するためなど死因について推測はされているが、特定はまだされていない。症状もカエルの種によって異なり、特に日本ではどのように発症するか、実験感染以外では判明していない。
【アフリカツメガエル】アフリカ原産の大型のカエル。その名の通り爪を持ち、その爪の部分にツボカビが寄生する(人間の水虫をイメージすればよい)。卵が大きく、ホルモンを注射すれば24時間で産卵することから、実験動物として世界的に大量に利用されており、日本もその例に漏れない。1998年にツボカビの感染が“発見”され、カエルツボカビ症の起源とされているがアフリカツメガエルおよびその近縁種では共生関係にある。標本調査では、1930年代の標本からもツボカビが検出されている。
(文責:本紙・土屋季之/取材協力:宇根有美准教授[麻布大学]、井の頭自然文化園)
宇根有美准教授(麻布大学)。獣医学部病理学研究室。専門は感染症ほか。「病理学は犯人探しの面白さがある」。病気の原因を突きとめる過程では、分子工学、遺伝子工学、細菌学、疫学など他領域にまたがる見識が必要となる
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 井の頭自然文化園のカエルイベント
「ずっとカエルとくらしたい」…国内に生息する9種のカエルとおたまじゃくしの展示(〜8月31日)
「一蛙コレクション展」…小沢一蛙のカエルグッズコレクション(7月8日〜12月28日)※7/12、13はイベントガイドツアー開催
「カエルと人のコラボ文化展」…カエルが登場するアニメや童話などの紹介。世界各地のカエル工芸品の展示(〜12月28日)
「カエルのミラクル」…跳躍力、摂餌の不思議など驚きのカエルの秘密を解説(7月8日〜12月28日)
※詳細・問い合わせはサイト(www.tokyo-zoo.net)へ
写真は自然文化園・荒井さんと天野さん
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