
vol.364
グッドウィルが7月末廃業 厚労省が「日雇い」規制強化を検討
人材派遣大手のグッドウィル・グループ(GWG)は25日、100%子会社で日雇い派遣を手がけるグッドウィル(GW)を7月31日をめどに廃業すると発表した。外資の支援を受けて経営再建中のGWGは、技術者派遣や海外事業などに経営の軸足を置く方針だが、信頼回復への道のりは険しそうだ。
従業員約4000人には7月末までの退職を求め、日本人材派遣協会を通じて同業他社に受け入れを要請。1日平均で約7000人の派遣スタッフは、派遣先企業に直接雇用などを働きかける。一方、厚生労働省は、グッドウィル雇用対策本部を設置、GWの事業所近くのハローワークに特別相談窓口を設置するなどして職探しを支援する。
GWは今年1月、違法派遣を繰り返したとして厚労省から全事業所を対象に事業停止命令を受けた。同社は24日、東京簡裁から罰金の略式命令を受け、納付した。労働者派遣法は罰金刑以上の有罪判決が確定した派遣会社に対し、事業許可を取り消せると規定。厚労省はGWの許可を取り消す方針を固めており、事業の継続は困難になったと判断した。中元一彰GW社長は記者会見で「売り上げ至上主義や業績偏重といった風土が最大の原因」と廃業に至った理由を説明した。
GWはイメージ低下で売り上げが激減。GWGの連結売上高に占めるGWの構成比を見ると、1〜3月は10%程度と前年同期と比べ半減、4月は7%程度まで落ち込んだ。GWGはイメージ一新のため、東京都港区の六本木ヒルズからの本社の移転や社名変更を検討。日雇い派遣を縮小し、技術者・製造業向け派遣を拡大する計画という。
GWが廃業を決めたことで、日雇い派遣の規制強化の動きが強まりそうだ。労働者派遣法の改正議論でも日雇い派遣の原則禁止は労使で賛否が対立する。厚生労働省は、7月に有識者会議の報告を受けて日雇い派遣の禁止職種など具体的に検討を開始する。
日雇い派遣をめぐっては、民主党など野党は原則禁止を主張。与党も公明党が原則禁止を表明し、自民党と調整している。「7月上旬には与党案が出る」(厚生労働省)見通しだ。政府、与党は、8月下旬に召集される臨時国会中に日雇い派遣の原則禁止を盛り込んだ労働者派遣法改正案の提出を目指す。
ただ、国際会議の通訳など専門的職種以外でもダイレクトメールの封入業務、イベントの販売職、引っ越し作業など仕事の繁閑が1日単位である職種はいろいろある。派遣先企業の経営者は、「日雇い派遣が有効な分野も多い」とし、日雇い派遣を当てにする声もあり、禁止の範囲をめぐって労使の綱引きが激化しそうだ。
日雇い派遣の規制が強化されても、企業はアルバイトの採用を増やしたり、長期間の派遣労働者の受け入れなどで対応するとみられる。規制強化が正社員を増やすことにつながるとはかぎらない。直接雇用のほうが雇用責任は明確だが、日雇い派遣が日雇いアルバイトになるのでは格差社会の解消にはならない。雇用全体を見据えた政府の支援策強化が求められる。