Superflyの手ごたえ
深化したサードアルバム『Mind Travel』リリース
情熱的な歌声と楽曲で人気を集めるアーティスト、Superflyが15日、ニューアルバム『Mind Travel』をリリースする。タイトルから予想されるように自分自身と向き合った内省的な作品だが、サウンドはその真逆で、パワフルでオープンなロック作品。「ようやく胸を張れる」と笑顔を見せるSuperflyこと、越智志帆にインタビューした。
撮影:蔦野裕
曲が一塊(ひとかたまり)になった!
そのフィット感で、もう大丈夫だって思えた
心地よいドラムをきっかけに、突き抜けた歌声が響く。言葉、フレーズ、サウンドアレンジメント、楽曲を構成するすべての要素が熱を持っている。Superflyの最新アルバム『Mind Travel』は、これまで発表したどの作品よりも情熱的だ。
「歌っていることは内省的なものばかりで、なかにはそんなことで悩んでいるなんて小さい!って言われそうなものもあります。でも、これが私なんだって提示できたのがこの作品です。そういった部分を歌詞にする恥ずかしさがなくなってきたのは、アルバムも3作目で、いろいろなものが整い、作品に関わるメンバー間の信頼も強くなって、自分がどんなに内省的なものを書いても光やゴールが見える、最後にはそこにたどり着けるって思えたから。だから、このアルバムは内省的だけれど開放的なんです」
「ようやく胸を張れる」と本人も言う最新作だが、完成まで試練もあった。
「2009年の12月、わりと空っぽになった感じがあったんです。目の前のことと戦い続けることに疲弊しまったと言うか、あのころはいろんなことがパツパツで、表情もピキピキ。……最後には笑えなくなってました。あの状態でセカンドをよく作ったなって思うくらい。でも、自分がそうだったことに気付いたのは、このアルバムを制作中なんですけれども(笑)」
制作前、まとまった休みをもらってリフレッシュ。「周りのスタッフが休みが必要だ!と思ってくれたのかも」と苦笑いしつつも、「あれでリセットできたからこの作品があるんです。自分の心を潤しておかないと作品は潤わないですから」
リフレッシュ効果は的中。2010年の春に手ごたえを感じた。後にシングルとなる『Wildflower』が完成。最新アルバムのスタート地点ともいえる曲。
「メロディーに、心を、人間味を感じたし、女性が大地を力強く踏みしめているイメージも浮かんできました。曲を構成する要素全部が一塊(ひとかたまり)になって、すごくフィット感があった。もうこれで、Superflyは大丈夫だって思えました」
あの感じをまた味わいたい―。その気持ちで制作に臨んだアルバムには、『Rollin' Days』『Beep!』といった、いわゆるSuperflyらしいエネルギッシュなロックチューンがある一方で、ニュー・ソウル的な「Fly To The Moon」、AORやソウルのテイストをミックスした『Secret Garden』など新たな試みも。「大きなため息をつける曲を」と作った『Ah』という美しい曲もある。密度も熱量も高い作品になった。
歌詞は、自分自身を掘り下げ、突き詰め、時に「ウッ」と打撃を受けながらも書き上げた。「書き上げてしまえば、そんな痛みは飛んでいってしまうから大丈夫」と、彼女。そして「歌えばもっと大丈夫になる」。
「アルバムの曲は、いろいろな刺激から生まれているんです。例えば『Fly To The Moon』は、自分の価値観がガラガラと崩れたことがきっかけ。『デザートフラワー』という映画を見たときのことなんですが、女性ならみんな自分と同じようにショックを受けるだろうと思っていたのに、……当たり前ですけど、人それぞれ、いろんな感想があるんですよね。育った環境や場所が違えば価値観も違うのに、同じ女性だからという安易な理由で理解しあえるってタカをくくっていた。届けた音楽は受け取ってくれた人のものである、それは分かっていたし、そう信じ切っていたのに、なぜかそう思い込んでいたことに恥ずかしくなりました」
突き詰めたメッセージもあれば、父への想いを歌った『Morris』、とにかく騒げというロックなパーティーソング『悪夢とロックンロール』といった作品も。濃厚な内容に、本人の「胸を張れる」の言葉に納得する。
パッションにあふれ、ロックでソウルフル。どっしりと土に根を張る木のように重心が低く、何をも受け入れてくれそうな包容力もある。音楽が持つ力を信じさせてくれるこの作品は、Superflyの行く道をビビッドに打ち出した。これからもきっと、Superflyはそうした芯のある音楽を届けてくれるはずだ。
25日からロングツアーもスタート。新しい風景を見たSuperflyの歌声に日本中が背筋を伸ばす。
(本紙・酒井紫野)
New Album 『Mind Travel』6.15 on saleドラマ『BOSS』主題歌『Rollin' Days』、映画『漫才ギャング』主題歌『Beep!』、ドラマ『GOLD』主題歌『Wildflower』などテレビやCMでおなじみの楽曲7曲を含む、パッションに満ちた全14曲を収録。初回限定盤(CD DVD)のDVDには10曲のミュージックビデオを収録した。ワーナーミュージックより発売。初回限定盤3800円、通常版は3150円(税込)。 |
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