舞台芸術の祭典「フェスティバル/トーキョー11」ラインアップ発表

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 2009年から始まった舞台芸術の祭典「フェスティバル/トーキョー11」(F/T11)のラインアップ記者会見が6日、都内のホテルで開催された。4回目となる今年のコンセプトは「私たちは何を語ることができるか?」。
 今回のプログラムは主催作品が10本、公募プログラム11本、参加作品6本の計27 本。さまざまな形で演劇や劇場といった枠組みから飛び出し、都市と演劇、演劇と社会の関係性を問い直す試みを中心に構成されている。

 今まで主要会場として多くの作品を上演してきた東京芸術劇場が改修工事中ということも重なって、注目度の高い野外公演が3本ラインアップされた。2本立てのオープニング作品となる『じめん』(構成・演出:飴屋法水)と『わたくしという現象』(構成・演出:ロメオ・カステルッチ)は宮澤賢治の作品をモチーフとしたもの。作品の制作依頼をしたのは2年前。3・11の大震災の後、宮澤賢治がにわかに注目を集めているだけに、なんとも因果なことである。
  ドイツの作家・演出家のルネ・ポレシュは、ドイツのルール工業地帯で上演された野外劇を豊洲の空き地で上演する。2006年に日本で『皆に伝えよソイレントグリーンは人肉だと』という作品を上演し、その特異な作品性でセンセーショナルな話題を巻き起こしたポレシュだけに、この野外劇も期待は大きい。
  もう一作は維新派の『風景画−東京・池袋』。彼らにとっては20年ぶりの東京での野外劇。場所は西武池袋本店本館と別館の間にある野外広場。都会のど真ん中にしつらえられた劇場――頭に思い浮かべるだけでわくわくするシチュエーションだ。

 もちろん劇場で上演される作品も興味深いものが揃った。
 例えば、宮沢章夫は1986年と2011年という2つの時間軸からなる作品を上演する。1986年といえばバブル。みなが浮かれ、ある種の充足感がいつまでも続くのではないかと思っていた時代だった。当時30歳だった宮沢は1986年については演劇という枠にこだわらず何かを書かねばと思っていたという。ちなみに1986年というのはチェルノブイリの原発事故が起こった年でもある。
 あれから25年。今の日本を取り巻く状況、世界の混乱を当時、誰が予測しただろうか。この作品を通じて、我々はどういう道のりを経て現在に至り、そしてどこに向かっていくのかが見えてくるかもしれない。
 大震災以降、日本ではさまざまな場面で「震災とどう向き合うか?」というテーマでものが語られる。スポーツ界、芸能界といった派手派手しい世界はもとより、市井の人々の日常生活においても。

 フェスティバル/トーキョーは震災に向かって正面からぶつかり「何を語ることができるのか」を模索し続けるという。アーティストたちはそれぞれの思いを作品に込める。今回のF/Tは"見る側"の感性も大いに試される場となることは間違いないようだ。