暴言の松本龍震災復興担当相がたった9日で辞任
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震災復興の中心となるはずだった松本龍震災復興担当相が5日、就任9日目で辞任した。岩手、宮城両県知事に「知恵を出さないやつは助けない」などと発言した問題の責任を取ったもの。
松本氏は退任の記者会見で「言葉が足りなかったり荒かったりして被災者の心を痛めたことを本当におわびしたい」と改めて陳謝した。そのうえで「私は被災者から離れない。相変わらず嫌いな与野党だが心を合わせて復興に取り組んでほしい」と述べた。
今から考えると、先月28日の就任時の会見でいきなりサングラスで登場し、「3月11日以来、私は民主も自民も公明も嫌いだ」と語ったあたりからなにやら怪しげな空気は漂っていた。3日には岩手、宮城両県訪問した際、両県知事に「知恵を出さないやつは助けない」「こっちも突き放すところは突き放す」などと発言。宮城県の村井嘉浩知事との会談の際は、村井氏が後から応接室に現れたことについて「お客さんが来るときは、自分が入ってからお客さんを呼べ。長幼の序が分かっている自衛隊(村井知事がかつて所属していた)ならやるぞ」と述べたうえで、「今の部分はオフレコな。書いた社はこれで終わりだから」な恫喝ともとれる発言を放っていた。4日昼に、首相官邸で記者団から村井氏らの反発を伝えられたときには「知事が? 本当に? うわあ、すっごい知事やなあ!」と国民感情との感覚のズレはどうしようもなかった。同日の会見では一連の“暴言”について「九州の男」で「B型」を理由に挙げていた。
後任の人選では菅首相の求心力の低下が露呈された。首相は当初、仙谷由人官房副長官に打診したが断られた。その後、被災地である宮城県石巻市出身の安住淳国対委員長の起用を考えたようだが、その安住氏は5日午後に国会内で開かれた党常任幹事会で菅内閣について「党として支える価値があるのか」と不快感を示し、記者団には「バトンタッチを早くしてもらいたい。こんな状態では恥ずかしくて石巻に帰れない」と語った。結局、平野達男内閣府副大臣が昇格することとなったのだが、平野氏も一時は就任を渋ったという。