原発再稼働を働きかけながらストレステスト実施とは…

 菅直人首相は6日の衆院予算委員会で、原発の再稼働問題について「(全原発対象の安全検査)ストレステストを含め、新たなルールで原発をチェックできるような形で検討してくれと指示している」と述べ、海江田万里経済産業相と細野豪志原発事故担当相に運転再開を判断するため、欧州で行われているストレステストを参考に新たな基準を作成するよう求めたことを明らかにした。

 政府はテストの実施を東京電力福島第1原発事故以降、原発立地自治体で高まっている原発再稼働への不安を和らげる材料にする考えだが、反対に「テストの結果が出るまで再稼働は認めない」との考えが広がるのは必至で、原発停止は長期化しそうだ。

 政府が先日、再稼働に向けた働きかけをした九州電力玄海原発を抱える佐賀県の古川康知事も、ストレステスト導入については困惑を隠せなかった。

 閣内ではストレステストの実施は必要との認識で一致していたものの、玄海原発でも実施することに強くこだわったのは首相。運転再開を目指していた海江田万里経済産業相は慎重だったが、首相が押し切った。

 海江田氏は再稼働の見通しがたたなくなることに関連し、「(電力の)需給にしっかりと責任を持つ」と発言。しかし電力需要がピークに向かう中、電力不足懸念は東北電力、東京電力管内だけでなく、西日本でも広がっている。