【COVER SPECIAL INTERVIW】ROCK’A’TRENCHの自由
最新アルバム『Bohemia』は最高傑作!
多国籍なリズムやサウンドが特徴のロックバンド、ROCK'A'TRENCH(ロッカトレンチ)が新たな一歩を踏み出す。7日に、セカンドアルバム『Bohemia(ボヘミア)』をリリース。ボーカルの山森大輔とドラムのオータケハヤトにインタビューした。
撮影・新妻和久
ROCK'A'TRENCHの最新作を聴いてふと浮かんだ言葉がある。「音楽とは、音を楽しむと書く」。手アカのついた表現だが、明るくて楽しくて、いろんな光も感じさせてくれ、『Bohemia』はその言葉が指し示す音楽だと断言できる。
自由奔放であること。辞書でBohemiaを調べるとそう書いてあった。
山森「1枚目のタイトルが『ACTION!』だったので、次はBから始まるものがいい。そんな簡単な着想で浮かんだのが『Bohemia』でした。確かいい意味があったはずだって調べたら、自由な精神だとか、何にもとらわれることなく創作する姿勢だとか書いてあって、見れば見るほどこれしかないって」
前作から2年2カ月を経てのセカンド。その間にシングルのリリースやツアーがあったとはいえ、贅沢といってもいい制作期間があった。「会心の作品」と2人はかみ締める。
山森「どんな作品を作るか――。このアルバムを制作するにあたって、最初の段階で明確なアイデアは持っていませんでした。ただ、シングル5曲が収録されることになっていたので、それらを超える曲でやろう、と。それと、できる限りメンバー5人のアンサンブルで、レコーディングも一気にドーンとバンド感を出してやること。正直なところ、これまでの作品を聞くと、もっとバンド感を出したほうが良かったっていう思いもあって」
オータケ「このバンドは最初2人で始まっていて、僕を含めて残りのメンバーは加入組。今のメンバーで楽曲をしっかり練る時間を持ててなかった。それでも、バンドらしくサウンドを作っていたつもりだけど、やっぱり練ったものと比べると……違うよなあ」
曲を練ることに重きを置いたこの作品はバンドに新しい景色を見せてくれた。そして、これまで以上のメンバーの結束も与えたのだという。
オータケ「曲を作る過程で、一番濃い部分はデモテープを作る段階だと思うんです。歌詞とか曲だとか核となる部分はその段階で考えきっているし、ある意味で完成している。ファーストはそれをなぞったイメージがあります。でも、セカンドでは、レコーディングまでの準備(プリプロ)をしっかりやるようにしたことで、もう一歩進めたし、いい結果につながったと思う」
山森「何よりもレコーディングが楽しくなったのがいいことですね(笑)。ちゃんと積み上げたものがあるから、何も考えずにレコーディングに臨める。ベースの真(シン、河原真)がアウトロで派手なことをやってきたり、ギターのヒロ(豊田ヒロユキ)が本番まで何をやるか聞かせてくれなくても対応できるんですよ。……曲を練る作業って、無数の正解のなかから、自分たちに合っていて曲も輝くものを選択すること。それを繰り返すなかで、バンドとしての価値観を確認し合えたんだと思います」
オータケ「根本が揺るがなくなるからね。最近見た宮崎駿さんのドキュメンタリーでもそうだったよ。それぞれが自分の持ち分を真っ当するんだけど、同じ根本を共有しているから出来上がったものを合わせると見事に1つになる。この作品で、僕らもそういうスタイルに近づけたんじゃないかな」
山森「自分が練った曲を持っていけば絶対いい曲になる気はしてます。ん〜、お金を入れたらちゃんと出てくる自販機のような?(笑) 時々、蹴ったり、斜めにしたりしないと出てこないときもあるかもしれないですけど」
「僕らはまだ一歩一歩進んでいる段階」という彼ら。しかしこの作品で手にした確かな自信は、彼らに大きな飛躍を約束してくれるはずだ。
(本紙・酒井紫野)
New Album 『Bohemia』連続ドラマ『鈴木先生』オープニングテーマ「光射す方へ」、資生堂SEA BREEZE CMソング「言葉をきいて」など全13曲を収録。初回盤Bには、カナダのシンガーソングライター、ダニエル・パウターとコラボした「Yeah Yeah Yeah」のライブ映像も収録。ワーナーミュージックより9月7日(水)発売。CD DVD形態の初回限定盤AとBはそれぞれ3500円、CDのみの通常盤は3000円(ともに税込)。詳細は、アルバム特設サイト(http://www.rockatrench-bohemia.jp)。ツアー日程など最新情報は公式ウェブサイト(http://www.rockatrench.com/)で。 |