日本でも発生 ウォール街発の格差デモ世界中に飛び火
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世界経済の中心地、米ニューヨークのウォール街で発生した反格差社会デモは世界中に拡大した。15日には米国から財政危機が深刻化する欧州、アジア、そして日本でもデモが行われた。
この日は、ニューヨークのデモ主催者らが「世界一斉行動日」と位置づけ、インターネットの交流サイト、フェイスブックなどを通じてデモ実施を呼びかけていた。
G20財務相・中央銀行総裁会議が開かれたパリでもデモ行進が行われたほか、数万人が参加したローマでは一部が暴徒化し店舗や銀行、政府施設を襲撃、負傷者も出るなど混乱が広がった。
ニューヨークと並ぶ金融都市ロンドンでは、数千人がシティーなどに集結、証券取引所を取り囲んだ。ローマでは数万人がデモ行進し、財政緊縮策などに抗議。一部が銀行などを襲撃したり、車両に火をつけたりして騒然となった。欧州中央銀行(ECB)本部があるドイツのフランクフルトでも約5000人が集まった。
シカゴでは16日未明、公園閉園後も退去しなかったとして175人以上が逮捕された。ニューヨークの繁華街、タイムズスクエア付近には数千人が集結。金融機関の敷地にデモ参加者が無許可で侵入したなどとして70人以上が逮捕された。
アジアにもデモは波及したが、台北やソウル、香港では300〜500人規模の集会にとどまった。日本では日比谷公園や新宿駅周辺などでデモが繰り広げられた。日比谷公園周辺には約170人が集まり、「オキュパイ・トウキョウ(東京を占拠せよ)」の横断幕などを手に、反格差社会を訴えた。
デモの震源地となっている米国では雇用の停滞が深刻さを増している。9月の企業人員削減数は前月の2倍以上となり、全米で約1400万人に上る失業者のうち、1年以上職が見つからない人は約450万人に達する。政争に明け暮れるオバマ政権と議会の雇用対策の出遅れも拍車をかけ、デモを勢いづかせる要因となっている。デモでは、雇用情勢の悪化と貧困層の拡大に対する怒りが噴出している。このまま政治が雇用対策で手をこまぬけば、景気のみならず社会情勢の悪化も進みかねない。