モバゲーのDeNAが横浜買収で大筋合意
プロ野球の横浜ベイスターズを保有するTBSホールディングス(HD)が、球団を売却することで、携帯電話向けソーシャルゲームサイト「Mobage(モバゲー)」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)と大筋合意したことが19日、関係者の話で分かった。プロ野球の球団譲渡が実現すれば、平成16年オフにソフトバンクが「福岡ダイエーホークス」を買収して以来、IT企業としてはソフトバンクと楽天に次ぐ3社目のプロ野球参入となる。
来季の本拠地は横浜に残す方向で交渉が進んでいる。DeNAもこの日、「交渉中であることは事実」と認めた。TBSHDは大半の球団株は売却するものの、一部は継続保有するとみられる。
野球協約では球団譲渡の原則として、新球団が参加する前年の11月30日までに12球団による実行委員会とオーナー会議での承認が必要になる。このため、TBS側は方針を他球団に伝えるなど準備を進めている。承認された場合、新球団は預かり保証金など計30億円を日本野球機構に納入しなければならない。オーナー会議では4分の3以上の賛同を得ることが売却条件となるが、複数の球団がDeNAの長期的な事業の安定性を疑問視して反対しているとの情報もあり、不確定要素も残っている。
グリーとともに国内でソーシャルゲーム「2強」を形成するDeNA。日本でもっとも浸透しているプロスポーツの経営に乗り出すことで「一流企業」として認知され、企業ブランドや社会的なステータスを高めようとする算段だ。
ただ、市場は厳しい見方をする。19日の東京株式市場でDeNA株の終値は前日比270円安の3135円。下落率は7.92%と東証1部上場銘柄で最も大きかった。逆にTBSホールディングス株は12円高の931円と明暗を分けた。
DeNAにとっての最大のネックは財務面での負担。買収額が100億円程度になるとの観測が浮上しているほか、横浜は年間20億〜30億円前後の赤字を垂れ流している。
また現状の球場使用に関する契約では、球場内の売店などの販売や広告看板の収入については横浜スタジアムのものとなるなど、球団が球場内で手にできる収益の大半は入場料収入となっている。本拠地を横浜スタジアムに残しては「球団の赤字体質は解消されない」と懸念する声もある。