生瀬勝久インタビュー「ドリームズカムトゥルーな気持ち」
竹中直人と念願の舞台初共演
テレビ、舞台、映画…あらゆるメディアで大活躍中の生瀬勝久。この秋も主役を務める舞台、映画とめじろ押し。舞台では11月11日から日比谷のシアタークリエで上演が始まる『ヴィラ・グランデ青山〜返り討ちの日曜日〜』で竹中直人という超個性派の役者と相まみえる。そして11月3日からは映画『サラリーマンNEO劇場版(笑)』が公開される。
撮影・宮上晃一 ヘアメイク・光野ひとみ スタイリスト・中谷東一
舞台『ヴィラ・グランデ青山――』では竹中と初共演。竹中が監督する映画『山形スクリーム』出演時に直談判した。
「誰の脚本でとか誰の演出でといった具体的な話では全然なかったんですが、舞台を一度ご一緒させていただけないかとお願いしました。2人きりになったときに“とにかく僕と一緒になにかをやってくれませんか”と告白しました」
2人きりになる時間がなかったら…。
「この企画もなかったでしょうね。撮影の後、企画が徐々に具体的になってきていると聞いたときに、あのとき僕が声をかけなければこの企画も生まれなかったんだろうと思うと、ドリームズカムトゥルーというか、今とても素敵な気持ちになっています」
竹中のどこにほれ込んだのか?
「竹中さんが出てきたら、たいがいの人が“あっ竹中さんだ”ってなる。そんな俳優さんがまず少ないですよね。デフォルメしていいなっていう役のときは思い切りデフォルメされるじゃないですか。でもドラマの『フリーター家を買う』ではお父さん役をきっちりと演じる。そのへんのやり方を聞いてみたら“感性でやっている”というんですけど、そういったところが好きなんですよね。忘れられない顔だし、芝居の作り方も竹中さんのオリジナルだし。照れ方とかね。あと怖い。男は怖いところがないとダメだと思うんですけど、僕はあまり怖い部分がないんです。竹中さんは人に気を使わせる。僕は人に気を使うほうなんで、そういうところにはあこがれますし、見習いたいですね」
作・演出にはペンギンプルペイルパイルズの主宰で、岸田戯曲賞作家でもある倉持裕が担当。いざ脚本を手に取って…。
「大満足です。ただ最初の顔合わせの時、竹中さんからは“アルゼンチンタンゴを踊りたい”というリクエストが出て、僕は“最近見たドキュメンタリーでこういうのがあって、とても興味がある”といった話をしたんですが、できた脚本にはアルゼンチンタンゴを踊るところも、ドキュメンタリーなところもありませんでしたね(笑)。多分、倉持さんがその時抱いた僕のイメージとか出ているドラマや映画、舞台をイメージされて書いたと思うんですけど、いい感じに見ていてくれているんだなって思いました」
気になるのはその内容。
「僕が読んだときはコメディーだなって思いました。おかしいですよ。でも演劇を見慣れていないで“ワケ分かんない”と思っちゃう人、うまくはまらなかった人は置いておかれちゃうと思います。なぜこれを舞台にするの?って。でも僕らのように長く演劇をやっている者からすると、こういう作品はワクワクします」
2人が揃うとどんなハチャメチャな舞台になるのか…というふうに見る人も多いだろう。でもそういうふうに見られるのは本意ではないという。
「キャストが凄かったね〜とか濃い2人だったね〜とか言われるのが一番嫌なんです。倉持さんのこの作品をどういうふうにこのカンパニーが演じるのか。演劇の醍醐味といったところを感じてほしい。僕や竹中さんがどうだったというのではなく、作品としてどうだったと言ってもらいたい。純粋な形で生まれた企画なので、何かを残したいし、大事にやりたいなって思っています」
脇役としても主役を食ってしまうほどの演技と存在感に定評がある生瀬。くしくもこの秋は舞台、映画と主役を務める作品が続く。
「主役とか脇役といったことはあまり意識しないし、考えたことがないんですよね。その役がどういう人なのか、その役がお客さんが一番見やすい位置にいるべきだって思うんですね。このストーリーで僕の役はどこにいるべきなのか。ストーリーを追うためにこの人にシンパシーを感じなきゃいけない人だったならば、そういうお芝居をしなければいけない。シンパシーを感じる人に対して僕はどういうふうに働きかければどう生きるのかとか。僕がやる役がどの位置にいるべきかを考えながらお芝居をやっているんで、主役とか脇役というのは僕にとってあまり意味はないんですね」
そして映画版の『サラリーマンNEO』。マシンガンのようにコントが続く番組とは全く違う、ストーリーのある作品となっている。
「僕もどうやって作るのかなって思いました。企画を聞いたときから“できるの!? 意味あるの!?”とかいろいろ。撮影している間もレギュラー放送のコントの取り方とは全然違うから、“ホントにこれ面白いのか!? 意味あるのか!?”とか思ったんですが、完成した作品を見て、“あっこれはサラリーマンのお話なんだから一緒なんだ”と気付いてすべてがつながりました。面白いし、笑えるし、いいお話になっている。レギュラー放送が目指しているものがこの映画なんじゃないかなとも思えて、良かったなって思いました」
人を誘っても絶対に外さない。舞台、映画とも必見の作品だ。
(本紙・本吉英人)
舞台『ヴィラ・グランデ青山〜返り討ちの日曜日〜』『ヴィラ・グランデ青山〜返り討ちの日曜日〜』 【日時】11月11日(金)〜27日(日)(開演は火木14時/19時、水14時、金19時、土13時/18時、日13時。※23日(水)は13時開演。月曜休演) 【会場】シアタークリエ(日比谷) 【料金】全席指定 8800円 【問い合わせ】シアタークリエ(TEL:03-3591-2400=平日11〜19時30分 〔HP〕http://www.tohostage.com/takenama/) 【チケット問い合わせ】東宝テレザーブ(TEL:03-3201-7777=9時30分〜17時30分) 【作・演出】倉持裕 【出演】竹中直人、生瀬勝久、山田優、谷村美月、松下洸平、田口浩正 |
©2011「劇場版サラリーマンNEO」製作委員会 映画『サラリーマンNEO劇場版(笑)』『サラリーマンNEO劇場版(笑)』 監督:吉田照幸 出演:小池徹平、生瀬勝久、沢村一樹ほか 1時間48分/ショウゲート配給/11月3日(木・祝)より新宿ピカデリーほかにて全国公開 http://www.neo-movie.com/ |