世田谷のスーパー周辺で高放射線量測定 試薬瓶にラジウム226

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 東京都世田谷区は28日、同区八幡山1丁目のスーパー敷地内と近くの歩道の地表部分で、最大毎時110マイクロシーベルトの高放射線量を検出したと発表した。

 区によると、同110マイクロシーベルトが検出されたのはスーパー裏手の歩道の植え込み付近。地上1メートルでは同4.7マイクロシーベルトだった。また、正面入り口近くの敷地内の地表では同30〜40マイクロシーベルトを検出した。

 28日午後に区民から「高い放射線量が検出された」と情報提供があり、文科省が測定した。29日には、地表面で新たに最大毎時170マイクロシーベルトの放射線量が計測されたと発表した。

 同省によると、スーパーのブロック塀から約60センチ離れた歩道上で毎時170マイクロシーベルト、店舗の出入り口付近でも同110マイクロシーベルトを計測した。ただ、地表から1メートルの高さでは毎時10〜4.7マイクロシーベルトで安定しており、同省では周辺の放射線障害の恐れはないとしている。

 31日には、店舗の担当者や土地の所有者、世田谷区の職員らが対応を協議。放射性物質の飛散防止のためビニールの覆いを設置。1日には文科省が現場周辺の地面を掘り起こして調査を開始。線量が高い部分を深さ40センチまで掘ったところ、フタのない試薬瓶が埋まっているのが見つかった。2日には瓶の中にあった放射性物質をラジウム226と断定した。

 スーパー敷地には昭和30年から48年にかけ、農業系の短大があり、研究施設や寮などがあったとされる。農業生物資源研究所によると、30年代には種苗や樹木にガンマ線を照射し、突然変異による品種改良を図る「放射線育種」と呼ばれる実験が盛んだった。バイオ技術の発展とともに衰退したが、当時は各大学の研究施設にガンマ線照射室を設置、コバルト60などの放射性物質を扱うことが多かったという。放射線量を測定し、区に通報したのは近くに住む男性。別の住民から「スーパー周辺が高い」と聞き、自前の高精度線量計で測定したところ、針が振り切った。

 世田谷区は、原発事故の影響を懸念するファミリー層も多く住む。線量計を持ち歩く子育て中の主婦らもおり、行政が監視しきれない「ホットスポット」が次々と見つかっている。今月12日、民家の床下からラジウム入りの瓶が見つかったのも「路上の放射線量が高い」という区民の通報がきっかけだった。