ギリシャが包括策の受け入れ是非問う国民投票へ
ギリシャのパパンドレウ首相は10月31日、与党議員との会合で、欧州連合(EU)とユーロ圏首脳が27日に合意した危機克服のための包括戦略を国民投票にかける考えを示した。国民投票では包括戦略が否決される可能性が強い。否決されれば同国の完全なデフォルト(債務不履行)はもちろん、世界経済が大混乱に陥る恐れもある。
パパンドレウ首相は与党・全ギリシャ社会主義運動(PASOK)議員と包括戦略の議会承認手続きについて協議した際、「ギリシャ国民は包括戦略を受け入れるか否かを決める権利を有する。国民投票は新しいギリシャを築く礎になる」と述べた。
第6弾融資の80億ユーロ(約8500億円)が来年1月に切れ、同国は資金不足に陥る。ベニゼロス財務相らは「国民投票の実施は1月」との見通しを示した。国民投票は軍政が崩壊した1974年以来、2度目。国民投票と合わせて内閣信任投票も行われる。
ギリシャの国民投票に対し、EUのバローゾ欧州委員長は2日、「包括支援策に同意しなければ、ギリシャ国民の痛みはもっと大きなものになろう」とする声明を発表した。G20議長国フランスのサルコジ大統領も1日、メルケル独首相と電話会談し、支援策の「早期の完全実施」をギリシャに求めた。世界銀行のゼーリック総裁も「サイコロを転がすようなもので、否決されたら大混乱になる」と重大な懸念を示した。