ライブ映像で森とつながる「アファンの窓」インテージ
国際森林年 特別連載vol.2 森林保全に取り組む企業
国際森林年にちなみ、森林の保全に取り組んでいる企業を紹介する企画第2回。今回は、株式会社インテージが社内で行っているライブ映像配信「アファンの窓」について、代表取締役社長・宮首賢治(みやくび けんじ)さんにお話を聞いた。
宮首社長の趣味はエコな自転車。「今、若い方々に自転車が人気のようですね。私もロードレーサーで、昔から、100キロくらいの距離を自転車で走って楽しんでいます。環境にも健康にも良いのがいいですね」
撮影:蔦野裕
――御社の事業概要についてお聞かせください。
「平たくいえば、企業向けのマーケティングリサーチを中心とした調査事業なのですが、リサーチの結果のみならず、ITを駆使して役立つ情報にしクライアントに提供しています。データをインフォメーションにし、インフォメーションをインテリジェンスにする。弊社では、インテリジェンス・プロバイダーと称しています」
――直接的に、環境問題に関わる業種ではない御社ですが、早くから環境への取り組みに携わっておられますね。
「地球環境の保全は企業活動を行う上での社会的責任であるというのは当然のことですが、加えて弊社では“企業の役に立つことによって、その先にいる生活者の役に立ちたい”ということをモットーとしています。それを、昨年創立50周年を迎えたときに
――その“インテリジェンス”が社会に広く関わっているのですね。
「最近ですと、震災直後にどんな社会貢献ができるのかと考え、<震災影響分析レポート>と称したレポートをクライアントに無料で提供しました。こちらは、阪神淡路大震災の直後の購買データなどを引き出しまして、どういう商品が急に求められるようになったかなどをまとめたものです」
――御社の環境への姿勢もロビーに入ってすぐに設置された、大型モニターに映る森の映像で知ることができます。
「それが、昨年12月から始めたライブ映像配信“アファンの窓”です。映っているのはC.W.ニコル氏が保護活動をする“アファンの森”です。昨年、始めたときは冬だったので、雪景色で体感温度が低くなる、なんて声もあったのですが(笑)、春になると本当にきれいな景色になりまして、社内でも癒される、と好評です。今年の夏は節電のために止めていましたが10月からまた始めました。これからの季節は紅葉していく森の映像を楽しむことができるでしょうね。来社されるお客様が興味を持ってくださったり、昨年10月に名古屋市で開催された生物多様性条約第10 回締約国会議(COP10)のときには、興味を持っていただいたお客様からアファンの窓について問い合わせをいただきました。今後、社内だけでなく他の企業などにも広めていくことができれば、と思っています」
――実際、社員の方が森林整備にも参加されているとか。
「もともと、アファンの森財団の理事長を務めるニコル氏と会長の田下憲雄が親交があり、財団が行っている森の再生・心の再生に賛同したことから始まりまして、2007年にオフィシャルスポンサーとなってから、年に1度は弊社の社員がアファンの森へ行って森林整備に参加しています。雑木を処理しないと、森というのは傷んでしまうんですね。ニコル氏いわく、自然というのは、自然の状態で放っておけばいいというわけではない、と。森は人が手を入れて守っていかないといけないんですね。そういった環境に関することを知らない人は実は多いと思います。例えば、森林保護のために割り箸は使わず“マイ箸”を使うという話がありますが、国内産の雑木から作られている割り箸というものもあります。この雑木が採られないようになると森が荒れてしまう。つまり割り箸を使う=必ずしも反エコというわけではないんですね」
――もっと、森を身近で意識することができれば、こういった知識も広まるはずですが…。
「そうですね。私も子供のころはよく森林で遊んでいましたよ。昆虫が好きだったので、よくクヌギ林のある森へ出かけたり。当時は船橋に住んでいたのですが、そのころあのあたりは森林帯だったんですよ。カブトムシやクワガタもいっぱいいました。今ではすっかり変わってしまいましたが。有名な『となりのトトロ』というアニメがありましたが、あれは東南アジアでも非常に受けたそうですね。その理由が、昔の原風景を見ているようだ、と。日本人から見たら、東南アジアにはまだ自然が残っているじゃないかと思いますけど、そうでもないんですね」
都会のオフィスで長野県信濃町にある森の姿をライブ映像で見ることができる“アファンの窓”。美しい自然の映像に癒されながら森林保全への意識を高めてみてはどうだろうか。
■株式会社インテージ
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