「フード・アクション・ニッポン アワード2011」表彰式開催
食料自給率向上に寄与する事業者・団体の優れた取り組みを表彰する「フード・アクション・ニッポン アワード2011」の表彰式が14日、都内会場にて行われ、大賞はじめ各部門の受賞者が表彰された。開催3回目を迎えた今年は、全国の事業者・団体等から1025件もの応募が集まり、審査委員会による審査を経て大賞1件、部門最優秀賞4件ほか228件の入賞者が決定。表彰式で受賞者たちは喜びの声とともに、日本の食、農業についての熱い思いを壇上で語っていた。
「フード・アクション・ニッポン アワード2011」
応募期間:7月11日(月)〜9月20日(火)
応募総数:1025件
審査委員:赤池学(ユニバーサルデザイン総合研究所 代表取締役所長)、王理恵(雑穀野菜料理研究家)、大木美智子(消費科学連合会 会長)、釼持雅幸(流通研究所 代表取締役)、澤浦彰治(農業経営者)、田崎真也(ソムリエ)、中嶋康博(東京大学大学院 農学生命科学研究所 准教授)、山本謙治(農産物流通コンサルタント)、吉水由美子(伊藤忠ファッションシステム マーケティングディレクター)
食料自給率向上に向けた国民運動「フード・アクション・ニッポン」の展開の一環として2009年に創設された「フード・アクション・ニッポン アワード」。毎年、食料自給率向上に寄与する事業者・団体等の取り組みを一般から募集し、優れた取り組みを表彰することにより、食料自給率向上に向けた活動を広く紹介している。開催3回目となる今年は、大賞をはじめ、プロダクト部門、製造・流通・システム部門、コミュニケーション・啓発部門、研究開発・新技術部門の優秀賞に加え、新たに設けられた東日本大震災被災地の食と農の復興に寄与する取り組みを表彰する「食べて応援しよう!賞」も発表された。
冒頭、小泉武夫実行委員長は「今、食料自給率が40%を切ってしまった。自分たちの食べ物は自分たちで作るという意識をもっと持たなくてはいけない。今日は、その見本となる、勇気づけられる事例を紹介できると思います」。赤池学審査委員長は「食というのは国の礎。日本では今、研究機関やメーカー、さらに教育の現場でも大学だけでなく高等学校でも、さまざまな団体が食や農についての取り組みを行っている。このうねりをますます全国に広げていくことができれば」と、受賞者たちの取り組みが、今後の自給率向上につながる期待を見せた。
会場には関係者を中心に多くの来場者、報道陣が出席。表彰式の後には交流会が開かれ、受賞者や参加者同士がそれぞれの取り組みについて紹介、質問し合っていた
その言葉通り、今年の受賞結果は現在だけでなく未来を見据えたものに。大賞に選ばれたのは、学校法人 愛農学園農業高等学校と社団法人 全国愛農会の「農業の担い手を育てる農業高校 就農率45%の取組」。三重県伊賀市にある愛農学園農業高等学校は、1963年、農業後継者の育成を目的に全国愛農会が設立した日本で唯一の私立の農業高校で、現在では化学肥料や農薬を使わない循環型農業を実践している。その卒業生の就農率は約45%と高く、農業の担い手を育てる姿勢と成果が評価されての大賞受賞となった。同校の奥田信夫校長は「今も、困難な中で農業に携わっている卒業生一人一人がもらった賞だと思っています」とコメント。さらに会場にいた卒業生を“ウチの宝物です”と紹介し、大きな拍手を贈られた。
筒井信隆農林水産副大臣も「農業後継者問題に直面している今、愛農学園農業高等学校が大賞を受賞したのは非常に意味のあること。農水省でも今後、農業就労者を支援する政策に力を入れていきたいと考えている。価格は高くても品質がよいものを作るということも日本の農業の重要なところ。そういったことを、愛農学園は長年取り組み続けてくれた」と高く評価した。
他、米粉を練り込んだラーメンや、酵素反応の可視化により生鮮魚介類の鮮度を見分けられる技術など個性豊かな取り組みが表彰され、来場者は皆それぞれの姿勢やアイデアに感心していた。
写真(1)震災があった今年は「食べて応援しよう!賞」も設けられた。 写真(2)大賞は、学校法人 愛農学園農業高等学校と社団法人 全国愛農会。 写真(3)企業や研究・教育機関の取り組みも多数紹介された。 写真(4)司会はフリーアナウンサーの永井美奈子
「フード・アクション・ニッポン アワード2011」主な受賞者一覧 |
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大賞 学校法人 愛農学園農業高等学校・社団法人 全国愛農会(三重県)農業の担い手を育てる農業高校 就農率45%の取組 |
プロダクト部門最優秀賞 エースコック株式会社(大阪府)もちもち食感の「米粉練り込みラーメン」で日本を元気にしよう! |
製造・流通・システム部門 最優秀賞 株式会社 セブン・ミールサービス(東京都)お食事お届けサービスの一環として国産野菜の宅配を開始 |
コミュニケーション・啓発部門 最優秀賞 和田浦くじら食文化研究会 おかみさんの会(千葉県)鯨食文化の継承と地元食材を活かした地域づくり |
研究開発・新技術部門 最優秀賞 国立大学法人 東京海洋大学(東京都)バイオサーモメータ― 〜生鮮魚介類のリアルタイム品質可視化技術〜 |
食べて応援しよう!賞 学校法人 北里研究所 北里大学(岩手県)/株式会社 エコキューブ(東京都)/株式会社 栄楽館 ホテル華の湯(福島県)/株式会社 高島屋 新宿店(東京都)/株式会社 福島放送(福島県)/一般社団法人 東の食の会(東京都)/株式会社 夜明け市場(福島県)/株式会社 モスフードサービス(東京都)/生活協同組合連合会 コープネット事業連合(埼玉県)/株式会社 おとうふ工房いしかわ(愛知県) |