大東駿介 インタビュー 「カメラの前でしっかりと生きてみよう」
月刊MENで蜷川実花が撮りおろし
旬な俳優を女性カメラマンが独自の視線で撮り下ろす「月刊MEN」シリーズ。これまで向井理ら今を代表する男たちが、気鋭の女性カメラマンの手により、それまでのイメージを打ち破る姿をさらけ出し、話題となってきた。同シリーズ第6弾は、俳優の大東駿介。蜷川実花と作り上げた濃密な世界について語る。
スタイリスト:石橋修一(STUTTGART)
ヘアメイク:SHUTARO(vitamins) 撮影:宮上晃一
タイのプーケットで撮影された今回の写真集。蜷川との仕事は2回目だという。
「2〜3年前に、1度台湾のファッションブランドの企画でご一緒して以来です。蜷川さんって、色が強くてビビッドで、花とかきれいな写真を撮るイメージだったんですが、実際は空気を持った写真を撮るのが上手な方だと思いました。温度とか、湿度とかその時の空気の熱とかを作品の中におさめる。撮ってもらっていても、自分の空気、呼吸に合わせてもらえるというか…。だから今回はわがままにやらせてもらおうと思って撮影に挑みました。わがままっていうのは、自分がカメラの前でしっかりと生きてみようということ。でもそれを全然逃さず、とらえてくれる。こちらにすごく合わせてくれるんです。そういう意味でも自分自身すごく開放されたし、仕上がった作品を見て、自分はこんな表情をするんだとか、再認識させられることが多かったです」
今回のコンセプトは、少年のような、ちょっと不良っぽい、ガッツを見せる、色っぽい、孤独な、遊びまわる、女にもてている大東駿介。確かにページをめくるたびにいろいろな顔を見せてくれているが、撮影中はそれらを意識していた?
「そういうテーマは最初からありましたが、それを持ちつつ、自分自身でも何かおもしろい変化があるものにしようと思っていました。自分も含めてスタッフのみんながこの作品と出会えてよかったと思えるものにしたかった。結果的には、全体的にセクシーな感じになりましたが、ただセクシーな写真があるんじゃなくて、ページで見ていくと、ちゃんとストーリーになっている。ページ順の時間軸で撮影したわけじゃないんですけどね。それは演出の部分ではありますが、作品として見た時に、納得できるものに仕上がったと思っています」
ストーリーのある写真集と大東がいうように、そこには一人の男の人生を集約させたような時間が流れる。
「写真集は今まで2冊出していますが、その時だからできる表現ってあると思うんです。そういう意味で今回は、今だからできる表現ができたと思う。段階を経て自分が経験したこと、自分の変化が表せるのが写真集だと思うので、今の自分が写し出される。でもその反面いろいろと発見することも多かったです。撮影はあまり撮られているということを意識せず、カメラのシャッター音に合わせることも一度もしなかった。だからピントがずれているのもありますが、感覚としては自分の心と向き合っている時間を撮影してもらったっていう感じです」
月刊MENシリーズについて“異色の写真集”という印象を持っていたが、自分がその被写体になる発想はなかったという。だが、芸名を変えて心機一転、気持ちも新たに活動を始めるにあたり、同シリーズが最初の作品になったのは、何かの巡り合わせだったのだろう。
「一歩踏み込んだ写真集を作るシリーズだと思っていたので、オファーが来た時はうれしかったですよ。新しい自分を出していい場を与えられたというか、挑戦させてもらえる場所の気がしたんです。ここなら何をやっても許してもらえる。むしろ挑戦しないと作品として成立しないんじゃないかと思っていました。名前も変わり、これからというタイミングで自分の名前を背負った写真集が出るのはうれしいことですし、ひとつ自分の中で起爆剤になる。そういう意味で思い入れのある作品になりました。作品については大満足していますが、これを超えていかなきゃいけないとも思いますね」
この作品を超えるのに必要なことは。
「ちゃんと生きてればいいんじゃないでしょうか。自分に正直に。自分に甘えず、ひとつひとつの仕事と向き合う。それが一番大変なことかもしれない。俺みたいな人間がなめたことしたらダメなんですよ。面倒くさい奴と思われても、そういうことをいちいち考えて、実行していくのってかっこいいと思います」
今年は1月から大河ドラマ『平清盛』、舞台『金閣寺』、映画『逆転裁判』(2月)、『桜蘭高校ホスト部』(3月)とさまざまなメディアへの出演が続く大東。今だから見られる25歳の彼の発する熱を同書で感じてほしい。
「月刊MEN 大東駿介」撮影:蜷川実花 発売中 |