七変化する田中麗奈
映画、大河ドラマなど出演作が続々登場!
田中麗奈が輝いている。出演映画が続々公開、大河ドラマ『平清盛』でも出演回の放送がスタート。オンエア中のCMも含めると、毎日どこかで彼女の顔を見かける状況だ。田中をマークすれば今が分かるかも?
撮影・蔦野裕
田中麗奈が注目を集めている。昨年末、映画『源氏物語‐千年の謎‐』と映画『聯合艦隊司令長官 山本五十六』が、年が明けると映画『麒麟の翼〜劇場版・新参者〜』と出演作が続々公開。2月中旬からはNHK大河ドラマ『平清盛』で、清盛のライバルである源義朝の妻・由良御前として、インパクトのある演技を見せている。作品ごとに印象を変える田中を見ていると、女優としての成長期を迎えているように感じる。
「いろんな役ができる役者になりたいなっていう気持ちはいつもあります。ただ、年齢を重ねてきたことで、以前とは質感の違う役を演じる機会が出てきたところもあって、いろいろ得るものが多くなってるなとは思いますね。それと同時に、足りないことがいっぱいあることも思い知らされるんですけど」
さまざまな役柄を演じているなかで、ほぼ等身大の女性を演じたのが、17日公開の映画『種まく旅人〜みのりの茶〜』。デザイナーの仕事をリストラされたヒロインが、有機緑茶農家の祖父を訪ね、さまざまなことが重なって、自分も畑に出ることになるというストーリーだ。
「演じているみのりという女性は、ごく普通の人。身近にいそうだし、自分と年齢も近くて、すごく等身大です。こうした役って意外と難しいんですよ。自分の自然体ではなく、彼女の自然体って何だろうって考えなきゃいけないですから。だけど、そういう部分は、撮影の環境だったり、共演者を含めた周りの環境に助けられましたね」
撮影は、大分県の臼杵市で行われた。
「映画の力が働いているって、心から感じられた現場でした。雨が降ってもその後に虹が出たり、夕焼けがすごくきれいだったり。それに、雨に打たれた茶葉が日に当たるとキラキラ輝いて見えたりしたことも。そこに自分がいることで、彼女の心の動きに触れられたし、彼女が変わっていく様子をじっくり表現することが大切だって思えました」
田中も茶畑で多くの時間を過ごした。
「一生懸命頑張ると答えてくれる、逆にさぼっちゃうとダメ。そういうのをこの役を演じることで体験して、農家の方々に比べたら足元にも及ばないですけど、農業って自然の力と人間の力の共同作業なんだって再確認できたし、すごく豊かな気持ちになりました。そういうことに普段から触れているからなのかな、農家の方ってキラキラしているんです。それを見ちゃうと、自分もこれから自然や土に触れる機会を意識的に増やしていきたいと思いますね」
静かながらもドキッとするフレーズが散りばめられた映画だ。
「“晴れの日もありがたい、雨の日もありがたい”だとか、“喜ぶ顔が見たくてやっている”だとか、素敵な言葉がいっぱいあるんですけど、そのまま自分自身に返ってきていて、映画を見終わったお客さんがこういう顔になっていたら理想だなとか、こういう感想が出てきたら喜ばしいなあ、なんていうのがふわっと浮かんだりします。今後もこの気持ちって続くんでしょうね。だから今思うのは、そこに行きつくまでにどうすればいいのかなってことなんです」
それこそ、みのりが劇中でつぶやく言葉「かっこいい」につながる。
「どんな仕事でも一つひとつのことを大切にして作るってかっこいい。それが専業主婦の方でも一緒で、自分の意志を持って一つひとつ何かをする、しっかり育くむ。子供だったら子供を育てる。それってすごくかっこいいと思います。経験や年齢を重ねながら、私もいつかそうなれたらいいなと思います。そのためにもチャンスがいただければいろいろな役を演じていきたいですね」
田中は、今日も、この瞬間も、かっこいい女優街道を丁寧に一歩ずつ進む。
(本紙・酒井紫野)
映画『種まく人〜みのりの茶〜』3月17日公開。オフィシャルサイト(http://www.tanemaku-movie.com/) |