ロシアのプーチン大統領が復帰 監視団は「不正あった」

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(Photo/AFLO)

 ロシア大統領選は4日夜(日本時間5日未明)、即日開票され、強いロシアの再興を掲げるプーチン首相(59)が大差で3期目の当選を決めた。2000年から2期8年大統領を務めたプーチン氏は、4年ぶりに最高指導者の座に返り咲くことになった。新たな大統領任期は現行より2年延びて6年。憲法上、2期12年務めることが可能。露中央選挙管理委員会によると、プーチン氏は63.60%を得票して圧勝した。暫定投票率は約65%。

 プーチン氏は4日夜、モスクワ中心部の広場に集まった支持者を前に、涙を流して勝利宣言。しかしそのモスクワで5日、得票率が47%台(開票率99.3%)と過半数に届かない異例の事態となり、同氏の強権体制などに対する大都市部の不満の大きさを示した。

 欧州安保協力機構(OSCE)などの選挙監視団は同日、公正な選挙の基準を満たしていないとする結果を発表した。

 プーチン首相が圧勝で返り咲きを決めたことを受け、日本政府では、停滞している北方領土問題が進展するかもしれないとの期待感が高まっている。

 野田佳彦首相は5日、プーチン氏と電話会談し、祝意を表明。プーチン氏が柔道の有段者であることを念頭に「『始め』の号令をかけて日露関係の次元を高めるべく協力していくことを楽しみにしている。領土問題について、プーチン首相との間で英知ある解決に取り組みたい」と連携強化を呼びかけた。

 首相が期待を寄せるのは、プーチン氏が2日の海外メディアとの会見で、北方領土に関し、柔道の「引き分け」という表現を用いて「負けないために大胆な一歩を踏み出す必要がある。最終的に解決したい」と意欲を示したことが大きい。首相は3日の海外メディアのインタビューでも「プーチン氏に問題を解決しようとの意欲を感じる。さまざまな議論を深めていければ」と秋波を送った。

 とはいえ、外務省では「発言は従来の立場から大きくはみ出していない」(幹部)と冷ややかな見方が根強い。

 一方「対米強硬派」とされるプーチン氏の勝利で、米露関係は停滞を避けられない−との見方が米国では主流となっている。

 米国がロシアを「(プーチン氏が動かす)実質的なマフィア国家」と見ていたことも流出した外交文書で判明。メドベージェフ大統領との間で推進された米露関係の「リセット」は、新たなリセットの危機に直面している。

 また5日には米国務省のヌランド報道官が、ロシア大統領選に関する声明を発表。不正を指摘したOSCE選挙監視団の報告を支持し、ロシア政府に「報告された全ての選挙違反での独立した信頼できる調査」を促した。