震災から1年 約480体いまだ身元分からず

 東日本大震災の発生から1年となるのを前に、警察庁は6日、遺体の発見状況や被災地の治安状況などをまとめた。発見された遺体の9割は溺死、死者の半数以上が高齢者、いまだに身元が判明しない遺体は約480体に上る。

 岩手、宮城、福島の被災3県で、2月29日までに収容された遺体は計1万5786体に上った。検視の結果、死因は津波による溺死が1万4308体と全体の90.64%を占めて最多だった。他は焼死145体(0.92%)▽圧死・損傷死・その他667体(4.23%)−などだった。男女別では男性7360体(46.62%)▽女性8362体(52.97%)▽性別不詳64体(0.41%)。

 身元が確認されたのは97%に当たる1万5308体で、65歳以上の高齢者が占める割合は56.09%と半数を超えていた。

 いまだに478体の身元が判明していない。身元不明の遺体は自治体によって火葬され、無縁仏として寺や自治体の納骨堂に安置され、今も多くの犠牲者が家族の元に帰れないでいる。

 3県で遺体捜索に関わった警察官は延べ約55万2700人に上る。

 また東日本大震災で親ら保護者が死亡、行方不明になった震災遺児が1206世帯、2005人に上ることが、あしなが育英会の調査で分かった。平均年齢は12.1歳で、小学生以下は全体の42.6%に当たる853人だった。同育英会は「成人するまでの期間が長く、長期的な支援が必要になる」と指摘している。

 同育英会は、遺児に支給する特別一時金の申請書を元に家庭状況を調査。遺児がいる1206世帯のうち母子世帯が569、父子世帯432、両親がいない世帯も205あった。

 また、7割を超える860世帯が家屋の被害を受け、全壊も703世帯に上った。