消費増税 民主党内で法案の事前審査スタート

 野田佳彦首相は12日、今通常国会の最重要法案である消費税増税関連法案について23日に閣議決定、国会に提出する方針を固めた。それに向け民主党は14日、税制調査会、社会保障と税の一体改革調査会など政策調査会内の合同会議を開き、法案の事前審査をスタートした。

 この日提示された政府の消費税増税関連法案の原案には、経済状況が悪化した場合、増税を停止する「景気弾力条項」について、経済成長率や消費者物価などの数値目標が盛り込まれなかった。一方で、平成28年度をめどに追加増税の措置を取ることが、付則に明記された。いずれも消費税率10%への引き上げを確実に実行すると同時に、悲願の財政再建に向け、10%超への増税に道筋をつけたい財務省の意向が反映されたものだ。

 弾力条項は「デフレ不況が続く中で増税をすれば、日本経済が沈没する」との反対派の声に配慮し、2月に閣議決定された社会保障と税の一体改革大綱にも盛り込まれた。大綱でも数値目標は盛り込まれず、法案の原案でも、「経済状況などを総合的に勘案する」という大綱と同じ表現が採用された。

 これに対し、反対派は具体的な数値目標の達成を条件とするよう主張。「原案の書きぶりはあいまいだ」(若手議員)と反発している。

 追加増税の付則も、自公政権時代に成立した21年度税制改正法案の付則に消費税抜本改革を盛り込み、今回の10%への引き上げの布石としたのと同じ手法だ。

 党内の中間派も動き出した。小沢鋭仁元環境相と馬淵澄夫元国土交通相はこの日の勉強会で「名目3%、実質2%」の経済成長率が達成できなければ増税を見送る条項を求める方針を確認した。これは「増税阻止」を宣言したに等しく首相がのむはずはない。これまで接点がほとんどなかった小沢一郎、馬淵両氏がもし手を結べば民主党の勢力図は大きく塗り変わる。