金子ノブアキを閉じ込めて…

「月刊MEN」インタビュー

注目の男優を女性写真家が撮り下ろす「月刊MEN」シリーズ最新作は蜷川実花×金子ノブアキ。音楽と芝居、2つの世界を飛び回る男が密室に閉じ込められたら…。

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ヘアメイク・VANITES 高草木剛 スタイリスト・上井大輔 撮影・神谷渚

「僕にとって蜷川美花は単に“写真家”というより“ワンアンドオンリー”な存在なんです。役者でもミュージシャンでも、そういう人好きなんですよね。今回、蜷川さんと“セッション”できるというので、すごく楽しみでした」。

 時代も国も分からない密室。野性をむき出したかと思えば、いきなり官能的なまなざしを投げてくる。

「分かりやすく言うと、少年漫画と少女漫画が混ざっている感じがいいかな、と(笑)。2人のセレクトが上手くミックスされていると思います。何かから隠れているような、イケない事をしているような背徳感が出るといいね、と蜷川さんと話していたんですよ。イメージとしては、影というか内側に向かって世界が広がっていく感じ」

 映画と違い、写真の場合カメラの前ではたいてい “素”になる、と金子。

「写真というメディアが好きなんです。一瞬ですべてを焼き付けるというところが自分の性格に合っているというか。写真って変な話、映像よりも“残る”と思うんです。時間が止まっているでしょ。ある意味、標本とか剥製のようなものだから映像より迫力を感じることもある。その一瞬を、蜷川さんと共有できたのは本当に楽しかった」

 好きな場所は本屋という“本の虫”ゆえか、言葉の表現力がとても豊か。そもそも彼は音楽と芝居、2つの世界に生きる表現者だ。ミクスチャーロックバンド・RIZEをはじめとする音楽活動に加え、俳優としても着実に成長中。

「自分では、根っからミュージシャンだなと思ってます。まあ、子役時代に大人たちと仕事をする中で育った反骨精神が、僕をバンドへと走らせたという経緯があるんですけど(笑)。音楽業界の頭打ち感を感じた時に、自分ができることはなんでもやってみようと思って、芝居の仕事も挑戦し始めたんですよね。でもそれが音楽のヤツらには“不義理”とされるときもあり、だからこそ音楽でも負けていられなくなって“なら、ライブやろうぜ!”と。ブルース・リーがよく街でケンカを売られても逃げなかったという話があるんですけど、まさにそんな感じ(笑)。俳優は俳優でコンスタントに経験を積んでいきたかったし。『クローズZEROII』で俳優として名前を覚えてくれた人が一気に増えたんですけど、ちゃんと役者として成長するなら“飛び級”じゃなく、時間かけて経験を積まないと」

 根はミュージシャンと言いつつどちらにも全力投球しているような…。

「それぞれで夢中になって戦っていたら、気づいたら双方の世界の人たちとも縁が深くなっていて、どちらも大事な存在になっていたんです(笑)。以前はネットでも“金子さんはやっぱりバンドをやっているときが最高だね”なんてコメントばかりだったのに、最近は“映像に出ているときが一番いい”って…みんな勝手なことを(笑)」

 笑顔は人懐こいのに、芯は相当タフ。

「自分を商品化して仕事する以上、傷つく覚悟だってしないと、と思ってます。蜷川さんだってそうでしょ。そんな話、お互いにしないけど。彼女は彼女で、僕の想像を超える戦いを経験してきただろうと思う。この写真集は、戦友のようでもある男女2人が、ある1点でクロスした一瞬のセッション。その一瞬に、これまでに“何かを経験してきた”感じが出ていればうれしいですね」

 密室での“さまざまな出来事”のあと、彼らは青空の下へ…。

「ラストは密室から外へ飛び出してこのままどこかへ…みたいな感じ。エンドロールが見えるような、いい写真ですよね。本当は“沖縄まで来てなんで埃っぽい部屋に閉じこもりきりなの”ってガマンできなくなって“外で撮ろう”ってなっちゃったんですけど(笑)」

 音楽のファンも俳優のファンも、この写真集を手にしたら“素”の彼のファンになってしまうはず。

(本紙・秋吉布由子)

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★月刊MEN 金子ノブアキ
(DVD付写真集)2625円 3月21日(水)発売 http://www.gekkan.jp/men/
★ドラマ「理想の息子」
(2012年NTV)放送中
★RIZE ワンマンツアー
5月11日(金)~