陸山会事件最終弁論結審 小沢被告「私は無罪です」

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(Photo/AFLO)

 資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第16回公判が19日、東京地裁で開かれた。弁護側は最終弁論で改めて無罪を主張、小沢被告も意見陳述で「私にはいかなる点でも罪に問われる理由はない。私は無罪です」と述べ、結審した。判決期日は4月26日午前10時に指定された。

 小沢被告は意見陳述で「検察は2年にわたり不当、違法な捜査を行い、政治介入を続けた。議会制民主主義を破壊し、国民の主権を侵害した暴挙と言うしかない」と検察批判を展開。さらに「検察審査会の起訴議決は、東京地検が捏造した違法な供述調書と捜査報告書に基づく誤った判断で、私には罪に問われる理由はない」と述べた。

 意見陳述に先立って行われた最終弁論でも、弁護側はまず、東京地検特捜部の捜査について「小沢被告がゼネコンから違法な金を受け取ったのではないかという根拠のない妄想から始まった事件」と批判した。

 その上で、土地購入資金のために提供した4億円は「適法に形成し、所持していた財産で、違法な手段を用いて隠す必要性も動機もない」と強調し、検察官役の指定弁護士側は違法な資金であることを立証していないと主張。また、「元秘書は相当の裁量を与えられ、自ら判断して職務を処理しており、その過程でいちいち報告し判断を仰ぐことはなかった」と述べた。

 指定弁護士側が、共謀立証の支えとした銀行融資への署名など間接事実についても、共謀を裏付ける証拠にはならないと反論。小沢被告への報告を認めた池田光智元私設秘書(34)=1審有罪、控訴中=の供述調書については、弁護側は「具体的な状況や時期の記載が全くない。記憶に基づく供述か甚だ疑わしく信用できない」と否定した。

 最後に、虚偽の捜査報告書に基づく検察審査会の起訴議決は無効として、公訴棄却も主張。「いかなる観点からも犯罪の証明がなく、無罪は明らか」と述べ、弁論を締めくくった。

 公判では小沢被告との間の「報告・了承」を認めた元秘書らの調書の大半が証拠採用されなかったが、指定弁護士側は9日の論告で「小沢被告の指示や了解なしに元秘書が独断で虚偽記載をすることはない」として禁錮3年を求刑した。

 今回の小沢被告の公判は、弁護士同士が激しい応酬を繰り広げた場でもあった。

 弁護団が切り札としたのは石川知裕衆院議員(38)の「隠し録音」。捜査報告書に実在しないやり取りが記載されていることが判明、報告書を作成した田代政弘検事(45)から「そういうやり取りはなかった」との証言を引き出した。

 思わぬ“味方”も登場した。指定弁護士側請求の証人だった前田恒彦元検事(44)が、ゼネコンからの裏献金が背景にあるとした検察の見立てを「幹部の妄想」と批判。この証言は最終弁論でも引用された。郵便不正事件で主任検事だった前田元検事と相対した弘中惇一郎弁護士(66)は結審後「ドラマチックというか…。西も東も特捜部はひどいところ」と振り返った。その上で「無罪以外の何物でもない」と自信をのぞかせた。