拒否可能だった東電の企業向け電気料金値上げ

 東京電力は21日、4月からの企業向け電気料金の値上げについて、契約期間が残っている契約者は値上げを拒否できることを十分に説明していなかったと発表した。同日から契約者に郵送で再度、通知するとともに、営業担当者がすべての契約者に対して、個別に訪問するか電話するかして説明する。契約者の75%、16万8000件が値上げを拒否できる対象となる。

 東電は4月1日から企業向け料金を一律平均17%値上げする方針。ただ、料金契約の更新日が4月2日以降の場合、1日に値上げすると「契約期間中の値上げ」となり、契約者の了承が不可欠となる。契約者が拒否すれば、期間満了日まで現行料金が維持される。

 しかし東電は、2月に発送した「料金値上げのお願い」の中で、「契約期間にかかわらず、4月1日以降は新しい電気料金」を顧客に要請。異論がある場合のみ、専用の電話番号まで連絡するよう求めていた。

 異論がなければ契約期間中でも値上げを了承したとみなす仕組みで、枝野幸男経済産業相は同日の閣議後会見で「開いた口がふさがらなかった」と批判。今月16日に東電に対し、丁寧に説明するよう指導したという。

 東電は値上げを了承した契約者にも改めて意向を再確認するという。

 しかし、利用者の拒否権を周知しなかった事実は、「故意かどうか分からない」(枝野経産相)ものの、一方的な値上げに対する利用者の反発の火に油を注ぐ事態を招いている。