日米首脳会談でTPP交渉参加を見送り

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野田首相との会談の後、オバマ米大統領はアフガニスタンへ(Photo/AFLO)

 野田佳彦首相とオバマ米大統領は4月30日昼(日本時間5月1日未明)、ホワイトハウスで会談し、中国の軍事的な台頭を踏まえ、日米同盟の重要性を確認した。両首脳とも、過去の首脳会談で主要議題だった米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設には言及しなかった。  首相は米上院議員の嘉手納基地(嘉手納町など)統合案を念頭に「お互いに議会と合意形成をし、緊密なコミュニケーションを取って進めたい」と提起した。  両首脳は北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射を受け、「さらなる挑発行為を防ぐことが重要だ」との認識で一致。核実験阻止に向け連携を強化することを確認した。首相は拉致問題への米国の協力に謝意を表し、大統領は「引き続き協力をしていく」と約束した。  首相は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への交渉参加表明を見送った。大統領は自動車、保険、牛肉の3分野に「関心がある」と言及した。  両首脳は共同訓練や警戒監視活動での自衛隊と米軍の協力強化を柱とする共同声明「未来に向けた共通のビジョン」を正式に発表した。会談時間は約1時間で昼食会が45分だった。  オバマ米大統領が首脳会談で最も力を入れたのは、軍事大国化した中国に明確なメッセージを送ることだった。「平和的な台頭なら歓迎する」(オバマ大統領)と強調する一方、南シナ海などで活発化する中国の海洋活動を念頭に、国際的な規範を順守するよう中国にクギを刺すことも忘れなかった。「成長を続けて、影響力を拡大させていくにつれ、中国は力強いパートナーとして国際規則と規範を順守しなければならない」とも述べ、台頭する中国について、国際社会の一員としての役割を果たすことへの期待と現状への不満を示した。  日米共同声明では一切触れられなかった「中国」という2文字だが、記者会見では質問に答える形で何度も中国に言及。会談の主要議題だったことを強く印象付けた。  またオバマ米大統領は首脳会談で、経済分野の議論の冒頭でTPPを持ち出し、産業界や議会が「日本市場の非関税障壁」と批判する自動車、保険、牛肉の3分野への高い関心を示し、一段の市場開放努力を促した。TPPへの参加方針を表明しながら、国内の農業団体への配慮などから事前協議が停滞する日本に対する米側のいらだちが表面化した格好だ。