オウム菊地容疑者逮捕 高橋克也容疑者は再度逃亡図る

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菊地容疑者が潜伏していた家屋(Photo/AFLO)

 平成7年の地下鉄サリン事件で、警視庁は3日夜、殺人、殺人未遂容疑などで特別手配中のオウム真理教元幹部、菊地直子容疑者(40)を逮捕した。同日夜、潜伏先の相模原市内で発見し、身柄を確保した。7年5月の特別手配から17年での逮捕となった。菊地容疑者と同居していた高橋寛人容疑者(41)も同日、神奈川県警大和署に出頭、警視庁は犯人蔵匿容疑で逮捕された。  逮捕容疑は、麻原彰晃死刑囚(57)=本名・松本智津夫=らと共謀し、7年3月20日午前8時ごろ、営団地下鉄千代田、日比谷、丸ノ内の3路線5電車で猛毒のサリンガスを発生させ、乗客ら12人を殺害、5553人に重軽傷を負わせたとしている。  菊地容疑者は教団「化学班」キャップの土谷正実死刑囚(57)らを手伝い、サリン製造に関与した疑いが持たれている。菊地容疑者は地下鉄サリン事件以外に、7年5月の都庁郵便物爆弾事件でも逮捕状が出ている。6年12月の大阪市の会社員、浜口忠仁さん=当時(28)=殺害などVX事件3件にも関与しているとされる。  警視庁によると、菊地容疑者は「サリンの生成に関わっていたことは間違いない。しかし、当時は何を造っていたのか知らない状態でした」と供述、「仕事は会社員。男と2人で暮らしていた」とも話した。  神奈川県警によると、高橋寛人容疑者は「私はオウムとは関係ない。オウムの菊地容疑者と知っていながら6年前から同居していた」と話した。さらに、「菊地容疑者とは横浜市内で働いていた職場で知り合った」と説明。「彼女(菊地容疑者)に結婚を申し込んだ。だが、素性を明かされて『私はオウムの菊地だから結婚できません』と断られた」とも話した。  5日には高橋寛人容疑者は「菊地容疑者と4、5回、出頭するかを話し合ったが、菊地容疑者に出頭する気がなかった」と供述していることが新たに判明。菊地容疑者は「寛人容疑者を愛するようになり、この生活を変えたくなかった」と話しており、警視庁は菊地容疑者が高橋寛人容疑者との恋愛関係に固執し逃亡を続けたとみている。  菊地容疑者の逮捕で残る特別手配者は元幹部、高橋克也容疑者(54)ただ一人となった。高橋克也容疑者は「櫻井信哉(しんや)」を名乗り一時期、菊地容疑者と川崎市幸区南幸町のアパートで潜伏生活を送っていた。昨年12月まで1人でこのアパートに住んでいたが、12月に退室。その後、川崎市の土木会社に勤務し寮に入ったが、菊地容疑者の逮捕後の4日、寮近くの信用金庫で「櫻井信哉」名義で13年8月に作った口座から現金約238万円を引き出した。その姿は防犯カメラにとらえられている。  警視庁は菊地容疑者の供述などから4日未明に幸区のアパートを発見し、さらにアパート関係者の話などから土木会社と社員寮を突き止めた。周辺の捜査を進め、午後6時半ごろに捜査員が部屋に踏み込んだが、高橋克也容疑者の姿はすでになく、布団以外の家財道具はほとんど残っていなかった。  高橋克也容疑者は少なくとも11年前、関東地方に実在する「櫻井信哉」という男性の住民票を入手し、潜伏先アパートを契約するなど、7歳年下のこの男性になりすまして潜伏生活を送っていた。