(Photo/AFLO)
世界ボクシング評議会(WBC)ミニマム級チャンピオンの井岡一翔(井岡)と、世界ボクシング協会(WBA)同級王者の八重樫東(大橋)による、日本人同士による初の両団体の王座統一戦が20日、大阪市のボディメーカーコロシアムで行われ、井岡が3-0で判定勝ち。3度目の防衛に成功した。井岡は日本選手で初めての両団体の統一王者となった。
足を止め、一撃必殺を狙う八重樫に対し、井岡は一歩も引くことなく闘志をぶつけた。「最後は気持ちの勝負。気持ちで負けなかったことが勝因」。3-0の判定ながらジャッジの採点は115-114、115-113、115-113といずれも1~2ポイント差。壮絶な打ち合いの末に小差の勝ちを拾った。
4回を終えての採点は3者ともイーブン。それでも「焦ることなく後半勝負」と自らに言い聞かせた。9回には右ストレートを食らいながらも、ジャブの連打や左右の強打を見舞い、八重樫の両目をみるみるふさいだ。
戦前に自信満々のコメントを重ねたが、万全の体調にはほど遠かった。厳しい減量の影響からか、5日前に扁桃(へんとう)を腫らし発熱。だが、ボクシング界の将来を憂える両陣営が歩み寄り、初めて実現した日本人同士による統一戦。「見応えのある試合をすれば盛り上がる。日本中に勇気と元気を与えたい」。試合終了のゴングと同時に会場は万雷の拍手と歓声に包まれ、思いは確かにファンに伝わった。
日本初の統一王者となった井岡だが、今後はベルトを返上し、1階級上のライトフライ級に上げるのが既定路線。「まだまだ通過点だと思っている。複数階級制覇を目指していきたい」。まずは叔父・弘樹会長が成し遂げた2階級制覇へ向け、23歳は次なる戦いへ踏み出す。
一方、敗れた八重樫は「試合後の両方の顔を見れば分かる」と潔く負けを認め、「また一からやり直せばいい」と出直しを誓った。