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(Photo/AFLO)
小沢一郎元代表ら消費税増税に反対する民主党衆院議員38人、参院議員12人の計50人が2日、輿石東幹事長に離党届を提出した。小沢氏は国会内で記者団に「新党の立ち上げを視野に入れながら離党した」と表明した。
離党届を提出した50人が、全員新党に参加すれば民主、自民両党に次ぐ勢力になる。小沢氏は「国民との約束をほごにする人が処分するのは本末転倒だ。野田首相の下での民主党は、政権交代を成し遂げた民主党ではない」と首相を激しく非難。次期衆院選に向け、新党では「消費税増税反対」と「反原発」を掲げていく考えを示した。
当初は52人分だったが、その後に階猛、辻恵両衆院議員が離党届を撤回。3日には水野智彦衆院議員が離党届の撤回を申し出て認められた。4日には加藤学衆議院議員が離党届を提出。これにより、離党者は衆院議員38人、参院議員12人の計50人になった。
野田佳彦首相(党代表)は2日の党役員会で「民主党の危機というより日本の政治の分岐点という大きな問題になりかねない。この大きな山を皆さんと一緒に乗り越えたい」と慰留しない考えを表明した。3日には民主党の常任幹事会が小沢氏ら37人を除籍(除名)処分にする方針を決定。また反対票を投じながら党にとどまる19人のうち、鳩山由紀夫元首相は党員資格停止6カ月とし、残りの18人は党員資格停止2カ月とした。
このほか、記名採決を行った3法案すべての採決を棄権した原口一博元総務相ら12人を常任幹事会名による厳重注意、消費税増税法案だけを棄権した小沢鋭仁元環境相ら3人は輿石幹事長名による注意とした。
小沢氏に同調して離党届を提出した参院議員12人については、参院採決前であることを考慮し処分は行わず、離党届を受理した。野田首相は3日、視察先の宮城県山元町で記者団に対し、「一日も早く党の規律を回復し、早急に態勢の立て直しをしなければならないという判断のもとに(処分・措置を)行った」と述べた。
一方、小沢氏らは4日、国会内で新党設立の準備会合を開き、11日に新党を設立することを決めた。会合には衆院議員35人、参院議員12人の計47人が出席し、小沢氏を代表とすることを承認した。新党参加者は欠席した衆院議員2人を含め49人となった。
会合で小沢氏は次期衆院選について「非常に近い。あらゆる準備をしなければならない」と述べ、候補者調整を急ぐ考えを示した。
小沢氏は党内人事に着手、代表代行に山岡賢次▽幹事長に東祥三▽国対委員長に鈴木克昌▽幹事長代行(政策担当)に牧義夫▽参院議員会長に広野允士(ただし)▽参院幹事長に森裕子−の各氏の起用を内定した。小沢氏は選対委員長を兼務する。
また、消費税増税法案採決で反対票を投じこの日、離党届を提出した加藤衆院議員が新党に参加する意向を表明した。
小沢グループは4日、衆院に37人の新会派「国民の生活が第一・無所属の歩」、参院に12人の「国民の生活が第一」を届け出た。衆院では小沢系でつくる新党きづな(9人)と統一会派を結成する方向だ。