サッカー五輪壮行試合でなでしこ快勝
男子は少し不安なドロー
ロンドン五輪に出場するサッカー男女の壮行試合『キリンチャレンジカップ2012』が11日、東京・国立競技場で開催された。女子代表の「なでしこジャパン」はオーストラリア代表と対戦。五輪不出場で、新たに代表チームを構築中のオーストラリアに実力の差を見せつけ3−0で快勝した。U−23代表の男子はニュージーランド代表と対戦。壮行試合とは思えない激しい攻防の末、1−1で引き分けた。
なでしこは序盤から完全にゲームを支配。危なげない勝ちっぷりを見せた。
前半25分に川澄がペナルティーエリアで倒されPKを得ると宮間が冷静に決め先制。前半ロスタイムには沢→阪口→宮間→近賀とセンターから右サイドに流れるようなパス回し。最後は大儀見が右足で合わせ、4戦連続のゴールを決めた。
そして後半12分。左コーナーキックからゴール前でこぼれたボールを沢がダイレクトで蹴り込み、昨年7月17日の女子ワールドカップ決勝のアメリカ戦以来、約1年ぶりの代表ゴールを決めた。トラップするとシュートコースが消されてしまう場面で瞬時の判断で蹴り込んだ沢。前半からヘディングでゴールを狙う姿や中盤で大きくコーナーチェンジをする場面などを見ると、五輪本番に向け、試合感覚は取り戻しつつあるようだ。
完勝の試合ではあったが、課題も浮き彫りとなった。後半から選手をどんどん交代していったのだが、チームのパフォーマンスが思うように上がっていかない。昨年からいわれていた主力と控えとの実力の差が期待していたほど埋まってはいなかったということか。五輪はタイトな日程での試合となるだけに、一抹の不安が残る。
男子はボールを支配し、細かいパス回しを見せたかと思うと大きくコーナーチェンジを見せるなど、終始ニュージーランドを圧倒。永井、大津、清武といった攻撃陣が縦横無尽に駆け回り、多くのチャンスを作った。しかし、GKの好セーブ、ポストに嫌われるなどなかなか点が入らない。均衡を破ったのはオーバーエイジ枠で代表に選手されたDF徳永と"サプライズ選出"の杉本の2人。この日、左サイドバックで先発した徳永は後半26分、ドリブルで切れ込むと強烈なミドルシュート。なんとか弾いたGKだったが、そのこぼれ球を、杉本が蹴り込んで先制点をあげた。
DF陣も3試合で7失点を喫したトゥーロン国際とは見違える動きを見せた。この日はベンチ入りしなかったオーバーエイジの吉田、合流できなかった酒井高徳とレギュラー争いが熾烈となってきた。
しかし手放しでは喜べない場面もあった。同点とされたのはロスタイムにピッチ中央で村松がボールを奪われ、怒濤のカウンターを許したもの。前半37分にも自陣で鈴木が不用意に出した横パスをカットされ、あわや失点の場面を作ってしまった。関塚監督も試合後「こういう試合をしていたら勝ち点を失ってしまう」と反省の弁。
五輪のサッカーは27日の開幕に先だって始まる。1次リーグF組の女子は25日(日本時間26日)のカナダ戦、D組の男子は26日のスペイン戦で初戦を迎える。
(Photo/AFLO)