夏の夜は怪談噺で。春風亭小朝独演会開催
東京・日本橋のロイヤルパークホテルで1日、毎年恒例の春風亭小朝独演会」が開催された。
19時から行われた第2部では、まず二つ目の瀧川鯉斗が「新聞記事」を熱演。やんちゃキャラの前座時代から比べると、二つ目になってぐっと落ちついた印象。しかし、自分の落語会より年齢層の高いお客さんをどういじっていいか迷走している雰囲気も。噺自体はバカバカしいオチがきっちりついているので、無難にまとめあげ、小朝にバトンタッチ。
その小朝が高座に上がると、会場は小朝ワールドに一変。マクラもオリンピックの話など、前日のことをおもしろく味付けして話すと、来場者は爆笑につぐ爆笑。大河ドラマから政治ネタまで、旬な話題を笑いに変えながら話す様子は貫録たっぷり。さすが小朝師匠といった感じ。
そこから、すっと入っていった話は、夏の夜に相応しい、圓朝の代表作「真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)」から「豊志賀の死」。照明と効果音を使い、客席をドッキリさせる場面もあり、会場内では客席から、息をのむ音が聞こえてくるほど。人間の業の恐ろしさを伝える陰気な話も、時折挟まれるくすぐりで、重々しい雰囲気になりすぎないのが小朝流。しかし、肩の力を脱ぎながら聞きつつも、怪談噺としての怖さは十分に伝わってくるのだから、スゴイ!
久しぶりの小朝の高座だが、つくづく"天才"という言葉が似合う人だと再認識。「落語に行ってみたいけど、誰を聴けばいいのかわからない」という人にもオススメの落語家だ。