韓国大統領が竹島上陸、そして天皇陛下への謝罪要求
韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は10日、島根県・竹島(韓国名・独島)への訪問を強行した。韓国大統領の竹島上陸は初めて。また14日には天皇陛下の訪韓に言及し「(天皇陛下が)韓国を訪問したいのなら、独立運動で亡くなった方々に対し心からの謝罪をする必要があると(日本側に)伝えた」と述べた。韓国大統領が公の場で、直接的な表現で天皇陛下に謝罪を求めたのは初めて。
中部・忠清北道での教育関係の会合で、竹島上陸の感想を尋ねられた李大統領は、天皇訪韓に触れ「(天皇陛下が過去に表明した)『痛惜の念』などという単語一つを言いに来るのなら、訪韓の必要はない」と述べた。
竹島上陸については「2、3年前から考えていた。思い付きではない」と強調。国賓としての訪日は実現していないとし「日本の国会で言いたいことを言わせてくれるなら行く」とも述べた。李大統領は2008年の就任前から「(日本に過去をめぐる)謝罪や反省は求めない」と言明。08年4月の訪日の際は、天皇、皇后両陛下と会見し、韓国訪問を直接招請していた。続く15日には、日本統治からの解放を祝う「光復節」の式典で演説し、慰安婦問題について「(解決に向け)日本政府の責任ある措置を促す」と述べた。対日強硬姿勢を続けていただけに、より強硬な批判や要求が盛り込まれるとも指摘されていたが、竹島への言及はなかった。
李大統領は「未来をともに開くべき重要な同伴者」と日韓関係重視の考えを示した後、慰安婦問題について「人類の普遍的価値と正しい歴史に反する行為だ。戦時での女性人権問題だ」と改めて解決を求めた。
「もう日本に謝罪や反省は求めない」と言って大統領になった李大統領が、ここにきて反日論者に変身(?)したのはなぜなのか。
韓国では昨年末以降、李大統領の実兄や親族などが不祥事で逮捕され、大統領の求心力は低下している。今回の発言の背景には、竹島上陸に続き対日強硬姿勢を見せ“愛国的大統領”として任期を終えたいとの考えがちらつく。李大統領は企業経営者出身で“経済大統領”“実用主義”が看板だった。しかしモノ・カネのビジネス大統領では大衆受けしないし、政治家としてはどこか寂しい。そこで「日本に対する断固たる姿勢」で愛国者として歴史に名を残そうという考えに至ったのかもしれない。
この一連の行動に野田佳彦首相は10日の記者会見で、「竹島が歴史的にも国際法上もわが国固有の領土であるという立場と相いれず、到底受け入れることができない」と強く非難。陛下の謝罪を求めたことについては15日「理解に苦しむ発言で遺憾だ」と批判した。