シリアで内戦取材中の山本美香さん死亡
内戦状態のシリア北部アレッポで20日、フリージャーナリスト集団「ジャパンプレス」に所属する山本美香さん(45)が取材中に戦闘に巻き込まれて死亡した。昨年3月にシリアで反政府デモが本格化して以来、日本人の犠牲者は初めて。
山本さんが銃撃されたアレッポ周辺は、内戦の最激戦地となっている。アサド政権が査証(ビザ)発給をごく少数に絞っているため、反体制派の協力でトルコからひそかに越境して取材に当たる欧米やアラブのジャーナリストも少なくないといわれ、山本さんらもこのルートを使ってアレッポ入りし、悲劇に遭ったとみられる。
トルコ政府の庇護下にある反体制派武装組織「自由シリア軍」は、拠点があるトルコ南部とアレッポ周辺に補給ルートを構築してゲリラ戦を展開している。メディアの取材活動にも協力的で、アサド政権側が厳しい情報統制を敷く中、メディアを通じて現地の状況を世界にアピールする「宣伝戦」の意味合いがある。
しかし、政権側はアレッポでの戦闘に戦車や戦闘機、ヘリコプターを使用し、反体制派が多いサラーヘッディン地区やスレイマン・ハラビ地区などを攻撃。連日、市民らに多数の死傷者が出ている。