中国財政相・人民銀総裁がIMF・世銀総会を欠席
中国の謝旭人財政相と中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁が、日本で開催された国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会を欠席。中国外務省の洪磊報道官が10日、出席見送りは日本政府による沖縄県・尖閣諸島国有化への対抗措置だとの見解を示した。謝財政相と周総裁の代わりに、財政省と人民銀行のそれぞれナンバー2である朱光耀財政次官、易綱副総裁が出席。
周総裁と謝財政相が、日本で開催されるIMFと世界銀行の年次総会を欠席したのは、1カ月前、日中首脳の対話直後の尖閣諸島国有化で潰された“メンツ”を潰し返す、中国流の報復措置といえる。
IMFなどによると、中国側は当初は謝財政相と周総裁が出席するとしていたが、総会開幕前日の8日になって「スケジュールの関係」を理由に急遽欠席することを伝えてきたという。
「重要会議にトップを派遣しないというのは少し行き過ぎた対応ではないか。外交の問題と経済の問題は必ずしも一致しない」。10日に都内で開かれたIMF・世界銀行年次総会の関連会議に参加していたアフリカの政府関係者は中国の対応をこう批判した。
日中両国と関係の深い東南アジアの政府関係者も「IMFの会議にトップを送らないということは、非常に重いメッセージを発している。尖閣諸島の問題をめぐり、これ以上の緊張を高めないように両国が努力すべきだ」と訴えた。
今回のIMF・世銀年次総会は世界経済の失速回避に向け、各国の結束を固める場になることが期待され、中国も世界第2位の経済大国として議論を主導すべき責任がある。
そもそも、中国は債務危機に揺れる欧州向け輸出の鈍化で4〜6月期の実質経済成長率が約3年ぶりに8%を割り込むなど経済成長に急ブレーキがかかっている。世界経済の波乱の芽を摘むことは中国にとっても喫緊の課題だ。
にもかかわらず、中国が日本開催を理由に閣僚級の総会欠席を決めたことは国際社会の常識に反し、外資の中国離れをさらに進ませる可能性がある。