日銀白川総裁が任期満了前の来月19日に辞任

 日銀の白川方明総裁は5日、安倍晋三首相と首相官邸で会談し、4月8日の自身の任期満了を待たずに、2人いる副総裁の任期が満了する3月19日に辞任する考えを伝えた。副総裁の任期に合わせて辞任することで新体制への移行を円滑に進める狙いがある。

 白川総裁は同日夜、東京都中央区の日銀本店で記者会見し、「総裁と2人の副総裁による新しい体制が同時にスタートできるようにしたい」と前倒しで辞任を決めた理由を説明。辞任を決断するにあたって政治圧力の有無については「まったくない」と否定した。

 日銀の首脳人事は、政府が総裁と2人の副総裁の後任人事案を3人セットで提案する方針で、衆参両院の同意を得て決まる。

 日銀総裁が任期満了を待たずに辞任するのは、幹部職員の接待汚職事件で平成10年3月に引責辞任した松下康雄総裁以来15年ぶり。

 白川総裁と副総裁との任期のズレは、平成20年の前回の日銀首脳人事で、民主党が、自民党の福田康夫政権が提案した元財務省事務次官の武藤敏郎氏の総裁就任に反対。副総裁の就任後に、世界でも例のない中央銀行総裁の約3週間の“空席”を招いたことに起因する。

 白川総裁は辞任と引き換えに、総裁と副総裁の同時スタートを担保し、日銀首脳の任期に齟齬を生じさせた政治の混乱の再現が起きないよう、くぎも刺した形で、市場が好感する「アベノミクス」の円滑な推進のためにも、次は政治の責任感が問われる。