小池百合子のMOTTAINAI
国会近くのガソリンスタンド(SS)が閉店しました。大通りに面した角地で、不動産としても絶好の場所です。都心、それもど真ん中で、営業を続けるSSも数えるほどになりました。
車なしには生活が成り立たない地方ではより深刻な同じ現象が続いています。灯油供給の場の消滅という点でも死活問題という地域もあります。
ちなみに私が普段活用している車はハイブリッド車と完全な電気自動車の二台。移動距離に応じて使い分けています。両車とも電気料金が安価な夜間に充電します。ガソリン消費は旧来の自動車時代と比較すると半分以下に減少しました。
最近は死語と化しつつある地球温暖化ですが、車を乗り換えたのも、環境大臣当時から訴えていた温暖化対策の一環であるとともに、石油資源に恵まれない日本の将来像を自ら描きたいと考えたからです。
2003年1月、当時のブッシュ大統領は一般教書の演説において、アメリカはクリーンな水素燃料自動車の開発で世界をリードすると高らかに宣言しました。「今日生まれるこどもが将来、大人になって最初に運転する車は、燃料電池で動力を供給されるであろう」と具体像を示して訴えたのです。
木炭、電気を経て、ガソリンへとイノベーションの歴史を体現している自動車産業ですが、それを支えるインフラにも目を向けなければなりません。
消防法改正により、設置後40年以上の老朽地下タンクは1月末までの改修が義務づけられています。改修費用をかさむことから廃業を選ぶガソリンスタンドが続出。毎年、1000件以上が廃業する流れは止まりません。
資源エネルギー庁の見通しでも2030年度時点でガソリン需要は激減し、約6割減とされます。そんな将来を見越し、ならば貸しビルにでもと、廃業が続くわけです。
自動車という移動体がなくなるわけではありません。エネルギー源がガソリンから、電気、水素と変遷するとしても社会のインフラとしてのエネルギー供給所は必要なわけです。携帯電話の普及で街角の公衆電話が消えたように、ガソリンスタンドが全滅していいものでしょうか。
ただ廃業に追い込むのではなく、将来を見据えて、ガソリン、電気、水素とあらゆるエネルギーの供給地点として、将来像を示すべきです。エネルギーによって規制の根拠法も異なるのでしょうが、エネルギーステーションが確保できる制度の整理を早急に進めることは喫緊の課題です。
文明の過渡期にこそ、未来を描く発想力が必要だと痛感します。
(衆議院議員/自民党広報本部長)