鈴木寛の政策のツボ 第二十四回

「科学の甲子園」で理数好きの裾野を広げる

 野球の春のセンバツ大会の時期まっただ中ですが、同時期に同じ西宮市の県立総合体育館にて「科学の甲子園」の第2回が行われました。全国の高校生が学校単位で6〜8人のチームをつくり、団体戦で理科、数学、情報といった科学分野の競技に参加します。今回は全国約6800人、800チームが参加し、県予選を勝ち抜いた359名47チームが筆記競技と実技競技に臨みました。そして大激戦の末、愛知県の岡崎高校が見事優勝しました。

 我が国の更なる科学技術の発展のためには、世界で通用する研究人材を育て、次世代の研究者の層を厚くするという観点も大変重要です。この「科学の甲子園」は、私が文部科学副大臣在任時に提案し、関係者の大変なご尽力の結果、昨年立ち上げていただいた催しですが、名前からも分かる通り、野球の全国大会である「甲子園」の仕組みを参考に発案しました。日本の野球界は、甲子園という全国大会があることによって球児たちがより高みを目指すようになり、プロ野球選手からやがてメジャーリーグでの活躍やWBCで好成績を残すなどの世界に通用するプレーヤーへと育っていく土壌があるのです。この仕組みを科学の分野にも応用し、各校の科学部などを支援し、「科学の甲子園」を開催することで、理数好きの子どもたちの裾野を広げることができると考えています。また、大学生向けにも「サイエンス・インカレ」という取り組みが昨年から始まっています。今年の末には、中学生向けの「科学の甲子園ジュニア」も始まります。

 全国の意欲ある理数好きの若者同士が切磋琢磨し、協働を重ねながら世界をリードする研究者として育っていく環境が必要です。「科学の甲子園」や「サイエンス・インカレ」に参加する学生がもっと増えれば、より質の高い研究者がどんどん輩出されることも期待できるでしょう。
(元文部科学副大臣・参議院議員)