TRAVEL SPECIAL : FINDING JAPAN 笑顔になる、出雲の旅。
60年ぶりとなる出雲大社の平成の大遷宮で島根県が熱い。八百万の神が集まる清らかな場所に、日本はもちろん世界各地から多くの人が足を運んでいる。「本殿遷座祭」を5月10日に控え、厳かな雰囲気のなかで着々と準備が進められる出雲大社を訪れた。
まだ町も完全には目を覚まさないころ、出雲大社に到着した。参拝客の姿もまばらで、勢溜(せいだまり)から延びる参道には数えられるほどしか人がいない。耳に入ってくるのは、小鳥のさえずりと、ガイドさんたちのしっとりとした声、そして足元の砂利がぶつかりあう音のみ。とても、静かだ。
60年ぶりとなる「平成の大遷宮」は、御本殿の御修造のため、御仮殿に移っていた出雲大社の主祭神・大国主大神(オオクニヌシノオオカミ)が、御本殿にお遷りになることをいう。
お遷りになる「本殿遷座祭」を5月10日に控えて、本殿では作業が大詰めを迎えている。きびきびと動く職人さんたちの姿に清々しさを覚えながら、本殿をぐるりと回る。国宝である本殿は、伝統的な手法と現代の技術を合わせて修造。見上げれば、職人さんたちが約70万枚の檜皮を竹釘で固定してふき替えたという御本殿屋根があり、そのてっぺんには、エゴマ油を主成分とした伝統的な塗装「ちゃん塗り」が施された鬼板や千木、勝男木が日光を受けてキラキラと輝いている。まさに「清新なる」という言葉がぴったりだ。
大国主大神は、国土を開拓し、農耕や漁業の基礎を作り固め、医薬の道を広めて、人々が楽しく、和をもって、豊かに反映する暮らしができるように国づくりをした。また、縁むすびの神さまとしても知られている。きっとこの「清新なる」本殿で、大国主大神は、みんなのしあわせを願って縁やつながりを結んで下さるだろう。
遷宮に合わせ奉祝イベント
出雲大社では「本殿遷座祭」に合わせて、さまざまな奉祝行事を行う。境内神苑では、伝統芸能やコンサートを5月10日から6月9日まで毎日上演する。さまざまな団体による出雲神楽の演目はもちろん、石見神楽、津和野町の古典芸能・神事の「鷺舞」、邦楽コンサートや舞台なども。詳細は、出雲大社「平成の大遷宮」奉祝行事ガイド(http://izumooyashiro-daisengu.jp/)で。
ココに行けばもっと楽しい!
出雲大社周辺スポット
出雲大社をフルに楽しむために、参拝前に、出雲大社から徒歩5分に位置する島根県立古代出雲歴史博物館をチェックしておくのがおすすめ。2000年に出雲大社境内遺跡から出土した本殿の本物の巨大柱を展示しているほか、出雲大社の歴史をさまざまな角度から紹介する展示が行われている。ずらりと並ぶ国宝の銅剣や、銅鐸、銅矛は圧巻だ。
また、出雲大社前の神門通りにはショップやご当地の味を味わえるレストランやカフェなども並ぶ。足を延ばして、雰囲気たっぷりの旧大社駅(写真左)まで散策するのもよさそう!
出雲大社へのアクセス
羽田空港から出雲縁むすび空港まで約80分。空港からバスで約25分。また東京から高速バスも出ている。
出雲大社から少し遠出すれば、島根の奥深い魅力に触れられる。
壮大な景色や人の温もりが笑顔の旅にさらに彩りを加えてくれる。
日本の夜を守る神社
日御碕(ひのみさき)神社
出雲大社から車で15分、バスで約20分のところにある日御碕神社。須佐之男命(スサノオノミコト)を祀る上の宮「神の宮」と、天照大神(アマテラスオオミカミ)を祀る下の宮「日沈宮(ひしずみのみや)」からなっている神社で、日本の夜を守る神社として知られている。鮮やかな朱色の社殿は、徳川家光の命で造営され、国の重要文化財に指定されている。社殿の彫刻も見事だが、日本海の青と松林の緑とのコントラストも美しい。
近くにはウミネコの生息地・経島(ふみしま)もあり、日御碕遊歩道を行けば、日本一の灯塔の高さを誇る出雲日御碕灯台まで散策も楽しめる。