さかいゆうがリズミカルでファンキーな新曲を語る
楽しくても悲しくても切なくても心躍るメロディックな楽曲を次々に送り出している、さかいゆうが、24日、ニューシングル『僕たちの不確かな前途』をリリースする。誰もが感じる期待と不安が入り混じった思いを転がるようなリズムとファンキーなサウンドにのせた曲だ。この作品が生まれた背景について本人に聞いた。
——新曲はアイデアを練り上げて制作された楽曲のように感じました。
「時期としては、昨年の秋ごろ、アルバム『How’s it going?』の後に作りました。そのころ、シックスティーズのオールディーズみたいな感じの曲が欲しいなって思ったんです。そういう曲って聴くには聴くんですよ、サム・クックとかオーティス・レディングなんかも。あとは、RCサクセションを聞いていたのも影響しているのかもしれないです。骨太のサウンドだとか、いろいろ入ってる感じだとかいいなって。話を戻すと、そういうタイプの楽曲を自分でやったことがないな、と。それでそのなかで、もっと循環コードみたいな感じなものができたらいいなと、繰り返すリズムの上に転がるようなメロディーを乗せていった感じですね」
——楽曲制作の方法がヒップホップに通じるところがありますよね。
「そうかもしれないですが、やっぱり最優先にしているのはメロディーですよ。メロディーに合わなかったらリズムを変えちゃいますから。そういえば、この曲も最初はもっとヒップホップのような曲でしたね。打ち込みっぽくて」
——完成からは想像しがたいです(笑)。
「作っていくなかで、自分が演奏しているイメージがわかなかったのもあったし、バンドっていうのもいいよなって、それで演奏を山崎まさよしバンドにお願いしています」
——音だけでなく、本作は他の血が入った作品ですね。作詞も森雪之丞さん。
「このメロディーを最大限に引き出す言葉を探していくなかで、森さんが浮かびました。大人も聞ける青春ソング、さよならがすべて悪いことじゃなくて別れも始まり、期待と不安が入り混じった、明るいけど切なく、悲しいんだけど前を向いて歩いていく……ありがちっていえばありがちなキーワードでお話ししました。曲のテーマってありふれたものでいいって思うんですよね。その、ありふれた日常をどれだけ異次元に持っていけるかっていうのがおもしろさだと思うんです」
——それに関連すると思うんですが、この曲は、内向きなことが歌われている部分が多いにも関わらず、サウンドは明るいというか、楽しさがあります。そのギャップが心地いいんです。
「明るい詞には明るい音、悲しい詞には悲しい音、そういう振り切り方もあると思いますけど、僕は違和感があるのが好きです(笑)」
——この曲、歌うときには自作自演の曲とは臨み方が変わってくるのでしょうか?
「自分ではない人が書いた詞を自分のことのようには歌えないんです。悲しいって書いてあってもその悲しみが自分の悲しみのようには歌えない、演技ができないんです。だから、なるべくフラットに歌ってます。もともとフラットな感じで歌う人が好きだし、自分もそうありたいって思ってることもありますけど。……きっと、自分の想いの丈を歌に託すタイプの歌が好きな人は僕の音楽は好きじゃないだろうな(笑)」
——カラオケで歌うときにもそんな感じで歌ったらいいんでしょうか。
「そうですねえ、僕、カラオケでうまいっていわれたことないんですよね。何を歌っても自分の声で歌ってるから(笑)。アドバイスは……、大きな声で歌ったらどうでしょうか。難しいな(笑)」
(本紙・酒井紫野)
タイトル曲のほか、『ONE WOMAN』、セルフカバー曲『100%』、レディオヘッドの名曲『CREEP』のカバーを収録。アリオラジャパンより4月24日(水)発売。1223円(税込)。弾き語りライブベストのボーナスCDつき期間生産限定盤(1890円・税込)もあり。