二十歳の視点 vol.9
「学生旅行・海外版 イタリア紀行(前篇)」
今回、2週間遅れのゴールデンウイークを楽しむべく向かった先は、「長靴」の国イタリア。イタリアと聞いて連想するのは「ピザ」と「ちょいワルおやじ」くらいな僕は、いまさらながらもうちょっと勉強していけばよかったと後悔している。しかも、思わぬ円安の余波を受けて、慌てて換金しに行ったことは言うまでもない…。さて、なぜイタリアかと聞かれると、親の付き添いなので深い理由はない。むしろ友人のいるフランスに行きたいと思っていたくらいだ。しかし、行ってみると陽気で華やかなイタリアにすっかり魅せられてしまった。気づけば、食べ物を食べると「ボーノ!」、挨拶では「ボン・ジョールノ!」を連発していた。そんな旅の、はじまり、はじまり。
ローマ
初日はローマ。サイゼリアの内装でしか見たことがない世界が、今、現実に! 2000年以上の歴史に彩られた街並みは、思わずため息が出てしまうほど美しい。市内から少し外れたところには『ヴァチカン市国』もあり、多くの観光客でにぎわっていた。ヴァチカンでは肌の露出は控えたほうがいいとガイドブックに書かれていたが、実際は半パンの人もいれば、肩を思いっきり出している人もいた。ローマの休日で有名な『スペイン広場』では、新婚旅行で来ていると思われるカップルでいっぱいだった。映画の世界に思いをはせているのか、とあるカップルに写真を撮ってもらってもいいかと言われ、パシャリ。幸せのお裾分けをしてもらった気分になった。街中のカフェ・バーでは昼間「Happy hour(ハッピー・アワー)」というシステムを導入しているところが多かった。アルコール1ドリンクとつまみのメニューが食べ放題でだいたい7ユーロくらい。普通のレストランだとパスタでも8〜10ユーロしたから、ずいぶんお得だ。他にもピザの量り売りやジェラートの店もあって、それを食べながら街を歩くのもいい。
カプリ島
カプリ島へ『青の洞窟』目当てで行ったのに、この日は残念ながら高波で中止になってしまった。せっかく晴れたのに…と残念がる観光客をわき目に、ナポリから移動の船のなかでガッツリ船酔いした僕は、それどころではなかった。もよおして青の洞窟が青じゃなくなる心配をしていたぐらい。実際、カプリ島自体がリッチな人たちの別荘地ということもあって、心地よい。青々と澄み渡る海が気持ちを安らかにさせてくれる。それでも、島の中腹くらいまでバスで移動だったのだが、かろうじて2台が通り抜けられるような道を、エライ速度で行く。さっきまでの穏やかな気持ちは何処へといった感じでスリルは満点。島の頂まで1人用リフトがあるのだが、それに乗って、展望台で記念撮影。軽食を取れるところもあるのでくつろぐこともできる。
フィレンツェ
『ダビデ像』や『ヴィーナスの誕生』など所有する美術館がある芸術の都・フィレンツェにも行った。街中にはおみやげ物を扱う露店があふれている。ちょっと上野のアメ横に様子が似ているかも。店の人が日本語で「アリガトウ」や「サヨナラ」と言うくらいだから、日本人が多く訪れていることがわかった。基本的に、おみやげ物屋さんと詐欺まがいのことをしてくる人は、ちょっと日本語がしゃべれる。特に後者は「エイズ撲滅のために募金を」「わたし、長友の彼女です」と言い寄ってくる。それはさておいて、ミケランジェロ広場からの景色は抜群に良い。ドウォーモ広場に見晴台があって、登るのに6ユーロかかるのだが、ここではタダでフィレンツェの街が一望できるからオススメ。
ピサ
フィレンツェから電車とバスを乗り継いで、約1時間半。ピサ中央駅から『ピサの斜塔』までバス移動なのだが、チケットは直接運転手から買う。そのとき、あまりにその乗客が多かったので、さすがに停まっていられなくなったのか、運転手が「スピード!スピード!」とせかし、後半はチケットなんてどうでもよくなってしまっていた。ピサの斜塔の周りでは、一様に塔を支えているポーズを取っていたのが面白かった。みんな考えることは同じなんだなぁ。有料で塔にも登れるが、自分の体重でこれ以上傾いてしまう恐れがある場合はやめておいたほうがいいかも。それは冗談として、帰り、バスを待っている人に駅行きか確認したとき、その人に「バッグを気をつけて持ってね」と言われた。油断禁物ということか…。
後編へ続く
(学生インターン・川合健悟)