ゲイ、パウエルが薬物違反 世界陸上欠場
8月にモスクワで開催される世界陸上での活躍が期待されていたタイソン・ゲイ(米国)とアサファ・パウエル(ジャマイカ)が、ドーピング検査で陽性反応を示した。
ゲイは男子100メートルで世界歴代2位タイの9秒96を持つ。パウエルは全世界記録保持者。ともにウサイン・ボルト(ジャマイカ)のライバルとして注目を集めていただけに、世界陸上ファンにはがっかりな結果となってしまった。
大物選手に相次いで発覚したドーピング違反。しかし事態は世界選手権でボルトと競うべきスプリンターが不在になるだけではない。今後、明らかになる詳細によっては、短距離界全体の権威が失墜しかねない。
ゲイはドーピングに関してはクリーンな選手というイメージがある。
今回の件では「わたしは基本的に誰かを信頼しているが、それは裏切られた」というゲイのコメントが出ている。故意の接種を否定する発言だ。パウエルも「ルールを破るような物質を故意に摂取していない。不正の意図はなかった」という声明を出している。
しかしパウエルが陽性反応を示したとされるオキシロフリンについては、日本アンチ・ドーピング機構の浅川伸専務理事は「集中力を高める作用がある」と説明し「風邪薬でうっかり摂取した例は聞いたことがない物質。トップ選手はドーピング防止に非常に慎重なはずだが…」と首をかしげた。
反ドーピングの動きは世界的な広がりを見せており、日本でも今年度から抜き打ち検査を全体の60%に増やす目標を掲げたばかり。日本陸連の土江寛裕短距離副部長は「健康食品やサプリに混ざっている違反物質が表示されていないことがある。信頼の置けないものは安易にとってはいけない」と警鐘を鳴らす。
日本陸連では、中高生や代表選手の合宿の際に注意を喚起。禁止薬物の情報を更新しながら毎年、冊子にまとめ指導者らに配布している。