SPECIAL INTERVIEW　春風亭昇太　立川生志　林家彦いち「怪談噺はオモシロイ ?!」

馬「怪談噺に出てくる女性で一番好きなのは？」
生「自分でやるのでいうと『お菊の皿』のお菊さん。段々売れっ子になって高飛車になったお菊さんが最後に出てきた時にタバコを吸ってるんです。それがね、ちょっと好きなんですよ（笑）」
彦「そういうのって落語っぽいですよね」
生「僕は古典中心だから、2人みたいに0から作るんじゃなくて、あるものを自分の中に入れ込んで、自分なりの解釈でアレンジするんです。だからお菊さんが売れっ子になると電通からCMのオファーがきたりね（笑）」
彦「そういうところに、プレイヤーの工夫やセンスが出て素敵だなと思います」
馬「昇太さんの『お菊の皿』もすごくおもしろいよね」
彦「この人はね、キュートです（笑）。兄さん、かわいいだよ！」
生「先輩だぞ（笑）」
昇「日本の落語の世界のお化けっていうのは、どこかきれいでかわいくてはかないっていうのが、日本の夏に合っているんだと思うんですよ。つまり、エアコンも扇風機も最強にしないで、弱で涼しむ。あるいは風鈴でもオッケーだよっていうのが、日本の夏だと思うんだよね」
彦「打ち水とかで、十分涼を感じていましたよね」
昇「そんなに怖くなくても良かったんですよ。震えるほど怖い必要がなかった」
生「背筋がゾッとするぐらいでね」
昇「それで良かったの。心底怖がらせるんじゃなくて、瞬間ひんやりぐらいで」
生「講談とかはある意味ちょっと怖がらせるようにしてるけど…」
彦「そういう落語もあるんだけど、終わって客席の灯りがついたら寄席だし（笑）」
昇「だからね、落語に来て日本のお化けのかわいらしさを知ってもらいたいんですよ。怖いだけが目的じゃないから」
彦「情緒があったり、そこにいろいろな教えがあったりする」
昇「正しい日本の夏を、かわいい怪談噺で感じてほしい。それが落語の中にはすべて詰まっているんです」
彦「さすが、きっちりまとめますね（笑）」
昇「腕があるからね」
生「ごめん。海鮮コロッケが気になって最後聞いてなかった（笑）」
（本紙・水野陽子）