江戸瓦版的落語案内 Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE
落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。まずは、寄席や噺の中で使われるさまざまな用語を解説する「らくごのいろは編」。
【し】仕草落ち(しぐさおち)
噺のサゲ(オチ)を仕草で行うこと。代表的な演目は『死神』。落語のオチは駄洒落がオチになる「地口オチ」、立場が入れ替わる「逆さオチ」、パッと聞いても分からず、少し考えると笑える「考えオチ」など多数に分類される。
【ゑ】江島屋騒動(えじまやそうどう)/噺解説
深川の倉岡元庵という医者が亡くなり、残された女房お松と娘のお里は郷里の下総に帰った。ある日お里は明主の息子源太郎に見そめられ、支度金五十両で無事婚約が成立。母娘は江戸の江島屋という古着屋で、婚礼衣装を整えた。ところが婚礼当日、名主宅まで行く途中、雨に降られずぶ濡れに。実は婚礼衣装は粗悪品で雨に濡れたことで、腰から下が破け落っこちてしまった。結局それが原因で婚約はご破産に。世をはかなんだお里は川に身を投げ自害してしまう。
数年のち、江島屋の番頭が商用で行った下総で道に迷い、一軒の家に宿を頼むと出てきたのが、髪を振り乱した盲目の老婆。この老婆、娘が自害し、自分も目が不自由になった恨みに、江島屋を呪い潰そうとしていたお松だった。番頭が江戸に帰ると、おかみさんと小僧が相次いで急死。そしてある夜、蔵でぐっしょりと濡れ腰から下がない娘を見る。驚いた番頭が主人に老婆に恨まれている事を話すと、主人の目が潰れてしまった。するとあの婆さんも出てきて、ヒョイと縁側に。番頭、ついに気絶してしまう。これがもとで江島屋が潰れるという因縁噺。
【ひ】膝・膝代わり(ひざ・ひざがわり)
寄席で、主任(トリ)のひとつ前の出番のこと。色物が多い。
【も】元結(もとゆい・もっとい)
髪、特にまげをまとめて結ぶひも。古くは麻などを用いたが、江戸時代には和紙を折ったり、撚ったりしたものを使用した。
【せ】せこ・せこ金(せこ・せこきん)
寄席の符牒で悪いこと、下手なこと、まずいこと。「せこ金」は、反応の悪い客、うるさい客など嫌な客のこと。「せこ場」は便所のこと。
【す】素見(すけん)
品物や遊女を見るだけで買わない事や人の事。遊里で冷やかし、うろつくこと。素見騒めき(すけんぞめき)とも言う。