外で楽しむ、家で味わう「2013コーヒーガイド」
10月1日は「コーヒーの日」。コーヒーの新年度が10月にはじまることから、全日本コーヒー協会によって、1983年に定められた。サードウェーブの流れを汲む新店舗や、チェーン店ながらこだわりのある店などをピックアップ! また、コーヒーに関する小ネタや産地に特化した豆販売店まで、コーヒーについて広く浅く紹介する。
THE DECK COFFEE&PIE
オープンデッキの空間が気持ちいいTHE DECK COFFEE & PIE。入り口向かって左手には、自家焙煎用の巨大な焙煎機が。都内初という大型の焙煎機は、特注で作られたものだとか。コーヒーの風味を劣化させず、提供するため店内で焙煎をしているという同店では、ブレンド1種類とシングル5種類のコーヒーを常時提供している。栽培の管理を行い、その品質が認められたスペシャリティーコーヒーを独自に焙煎したコーヒーは、コクがありながらもスッキリとクリアな味。また、店名にあるように、ボリュームたっぷりのお食事パイも人気。野菜サラダとパイを組み合わせた「ザ デック ディッシュサラダパイ」は女性にうれしいヘルシーな一品。こだわりの雑貨を中心としたセレクトショップ「Free Peddler Market」に併設された同店は、コーヒーの味とともにライフスタイルも提供する。
THE DECK COFFEE&PIE
【住所】渋谷区千駄ヶ谷3-53-17【TEL】03-3478-6855【営業時間】平日9〜21時、土日祝11〜19時【URL】http://fpm.bz/
Standard Coffee 山王
オフィスビル内にオープンした「Standard Coffee 山王」は、サードウェーブの潮流から生まれたスタイルのお店。いわゆる、シングルオリジンのコーヒーを、ハンドドリップで提供しているのだが、ここでは豆の品質、オペレーションを整え、そのこだわりの味わいを今後、展開していくという。そのため、さまざまなお客さんに対応するため、マシンで抽出したコーヒーも提供。気分に合わせて、じっくりとコーヒーの香りと味を楽しみたい人にも、さっとコーヒーブレイクをしたい人にも、使い勝手のいいお店だ。店頭で焼くクロワッサンや、毎朝店で仕込むサンドイッチなど、フードにもこだわっている。また、カウンターやテーブルには、コンセントの差し込み口があり、コーヒーを味わいながら、メールチェックやPC作業も可能。ビジネスの合間のコーヒーブレイクに利用したいお店。
Standard Coffee 山王
【住所】千代田区永田町2-11-1 山王パークタワーB1【TEL】03-3580-2121【営業時間】平日7時30分〜21時【定休日】土日祝
PADDLERS COFFEE
サードウェーブの火付け役となった、アメリカ西海岸・ポートランドの「スタンタウンコーヒーロースターズ」の豆を扱う「PADDLERS COFFEE」が参宮橋にオープン。新鮮なほど、風味がいいといわれるコーヒーだが、ここではポートランドで焙煎したものを鮮度の良い状態で提供する。エチオピア、グアテマラ、コロンビアなどの6種類と日替わりでオススメのコーヒーを提供する。ポートランドのスタンタウンコーヒーローターズは、農園と直接取引をし、産地、品種、その他の情報を開示。さらに焙煎日をパッケージに記入するなど、今のコーヒー文化の主流を作ったといわれている。日本の正規取り扱い店である同店では、それをベストな状態で楽しめるほか、家庭でもおいしいコーヒーを飲んでほしいとの思いから、小分けの豆も販売。高品質でフレッシュな味がいつでも楽しめる。
PADDLERS COFFEE
【住所】渋谷区代々木4-5-13 レインボービル㈽1F【営業時間】8〜17時【定休日】月曜【URL】www.paddlerscoffee.com
VASHON/Seattle’s Best Coffee Shiba-Koen
シアトルズベストコーヒーの複合店「VASHON/Seattle’s Best coffee Shiba-koen」がリニューアルオープン。オリジナルの日替わりブレンドのほか、店舗でセレクトしたオススメのドリップコーヒーが楽しめる。また、シアトル系ならではの、ラテやモカ、カプチーノなどコーヒーをカスタマイズしたメニューも豊富。さらに、同店は食事系が充実しているのも特徴。人気の「ヴァション バーガー」は、つなぎなしの上質なビーフ100%を130g使用。厚めに焼かれたハンバーグは、みっちりと肉がつまり弾力があり、食べごたえ十分。しかも、コーヒー同様、焼き加減もミディアムとウエルダンが選べ、自分好みにカスタマイズできるのがうれしい。アラスカ産の天然のタラやワイルドサーモンなど、こだわりの食材を使ったメニューも豊富。
VASHON/Seattle’s Best Coffee Shiba-Koen
【住所】港区芝公園2-3-27 芝公園PR-EXシアトルズベストコーヒー【TEL】03-6435-6600【URL】www.vashon.jp【営業時間】平日7時30分〜23時、土日祝日8〜23時
チョコとコーヒーのSWEETな関係
ほろ苦いコーヒーと甘いチョコレートのマリアージュが楽しめるフェアが東京・新宿のヒルトン東京で開催中。コロンビアのコーヒーとチョコレートを同ホテル初の女性パティシエ・板倉加奈子氏が総料理長・フィリップ氏とともに全27品の新作スイーツにして提供している。特徴と相性について板倉氏に聞く。
「フェアをやるにあたり、コロンビアのカカオ豆農園と工場を視察し、そこからインスピレーションを受け、新作を作りました。コーヒー豆とカカオ豆の栽培地はとても近い所にあり、同じ土地から生まれた素材は相性もとても良いと思っていましたし、実際使用してみても想像通りでした。今回使用しているのは、有機コロンビアコーヒー豆ですが、酸味と甘みのバランスがとてもいいですね。また、コーヒーをエクレアのクリームやティラミスのシロップ等に使用しましたが、深みのあるコクがチョコレートに負けない存在感になっていると思います」。
定番のケーキから、これまで味わったことのないような工夫を凝らしたスイーツを、ブッフェスタイルで楽しめるこのフェア、コーヒーとともに楽しんで。
コロンビアン・コーヒー&チョコレートデザートフェア
【期間】11月14日(木)まで【場所】ヒルトン東京1階マーブルラウンジ【時間】14時30分〜18時【料金】4200円(子ども2750円、いずれも税サ込み)
中米のコーヒーならココ!
世田谷の「カフェテナンゴ」は中米の豆に特化した専門店。オーナーの栢沼さんは、開業前に3年間中米に滞在し、現在も毎年産地に行っている中米のスペシャリストだ。中米はその地形と複雑な気候により、豆の味や品質が1カ国の中でもバラエティーに富んでおり、同じ農園でも違う味が楽しめるという。そのため、扱っている豆の生産者である農園主たちとは必ず会い、信頼関係を築いてきた。豆はブレンドとストレートのものを合わせて7種類を販売。店内では、2杯まで試飲できるほか、好きなものをカウンターでゆっくりと味わうこともできる。また、通信販売でも購入可能。午前中に店内で焙煎し、午後に発送してくれるので、店まで出向かなくても、自宅にいながら新鮮なコーヒーが楽しめる。100g×2袋のお試しセットがあるので、中米のコーヒーを試してみたい時は、そちらを利用してみるのもオススメ。
カフェテナンゴ
【住所】世田谷区深沢5-8-5【TEL】03-5758-5015【営業時間】10時〜19時30分【定休日】水曜/第1・3木曜【URL】www.cafetenango.jp
こだわりのコーヒーを提供する店が増えてきたが、最近ではそんなコーヒー店が、家でおいしくコーヒーを入れるちょっとしたコツや、トレンド、さらにはコーヒー全般にかかわることを教えてくれるセミナーや講座を開設。三軒茶屋の「Cafe Obscura」でも定期的にワークショップを開催していて、9月7日は、「ICE COFFEEを楽しむ」というワークショップが行われた。
アイスコーヒーは夏の定番だが、コンビニでは1年中販売されるなど、室内が乾燥する冬にも人気のメニュー。今回は「アイスコーヒーのいろいろな淹れ方」を学び、自分のお気に入りのアイスコーヒーを探すのが目的。
ワークショップではまず、コーヒーの生産地とその味の特徴などの説明やカッピングといわれる、ワインでいうところのテイスティングの方法などを勉強。それを踏まえた上で、「水出しアイス珈琲」(2種)と「ハンドドリップアイス珈琲」(3種)をカッピング。その後、自分が気に入った豆、もしくは気になる豆を使って実技へと移る。参加したのは、主婦、学生、会社員など4名。ちなみにこの日は約1時間半で参加費は1500円。さまざまなコーヒーの飲み比べができ、さらにコーヒーの知識も得られてお得感がある。コーヒー店が主催する、こんなセミナーに参加して、この秋冬は自宅でおいしいコーヒーを楽しんでみてはいかが?
おいしいハンドドリップアイスコーヒーの挿れ方
1.ビーカーに氷を3個(1つ約20g)を入れる。
2.コーヒー豆を25g、中挽きにしてドリッパーにセット。
3.ホットを抽出するより、ゆっくりとお湯を注ぐ。ビーカーに落ちたコーヒーが100ccを超えたら、お湯を太く多めに注ぐ。
4.200ccまできたら抽出をやめて、溶け残った氷はマドラーで軽く混ぜ溶かす。抽出時間はトータルで2分〜2分30秒ほど。
5.氷の入ったグラスに入れて出来上がり。
Cafe Obscura
【住所】世田谷区三軒茶屋1-9-16【TEL】03-3795-6027【営業時間】12〜23時【定休日】毎月第3水曜日
コラム1 コーヒーは健康にいい? 社団法人全日本コーヒー協会は、毎年「コーヒーと健康」をテーマに、医学・生命科学等の研究者を対象に助成研究事業を実施。それら助成研究事業や国内外の関係機関の研究報告を基に「コーヒーとからだのおいしい話」という小冊子を作成している。これまで発行された2冊には“コーヒーのダイエット力”“コーヒーの不老力(アンチエイジング)”“コーヒーの活性力”“コーヒーとメタボリックシンドロームの関係”“コーヒーと脳の関係”“コーヒーと女性のがんの関係”“コーヒーと血液の関係”など、コーヒーの持つ効能を紹介。コーヒーと健康に関する情報を発信している。 また、毎年コーヒーに関する知識の啓発普及を目的としたコーヒーサイエンスセミナーも開催。9月6日には、都内で「第17回コーヒーサイエンスセミナー 2013」が行われた。セミナーの内容は「コーヒーの抗糖尿病作用及び抗肥満成分の効果を発表」で、コーヒーと成分に関するテーマについて2つの講演が行われた。 テーマは難しいが、コーヒーには糖尿病を予防する効果があるということを学術的な見地から実証した研究報告だ。それによると、糖尿病の中でも2型糖尿病といわれる、生活習慣病に起因される糖尿病を、コーヒーが予防する効果があるという。コーヒーに含まれるクロロゲン酸が血糖値の抑制に関わっているらしいことが可能性として指摘されているほか、コーヒーを飲む習慣と糖尿病の関係に関する膨大なデータからも、コーヒーが糖尿病リスクを軽減しているのではないかというデータも発表。毎日のコーヒー習慣が、健康維持の一助になるかも。
コラム2 コーヒートレンドが分かるキーワード解説 サードウェーブ アメリカで90年代後半から起こった動きで、日本には2000年ごろから、その波が徐々に浸透してきた。豆の品質にこだわり、産地、農園、生産者まで特定できるトレサビリティーのもと、焙煎や抽出方法にこだわり提供すること。シングルオリジンの豆を、ハンドドリップで淹れて、その特長を最大限に引き出すスタイル。ちなみに、ファーストウェーブは、1960年代のコーヒーの大量生産、大量消費の時代を指す。セカンドウェーブは、1980年代後半の味や品質にこだわったスターバックス等シアトル系コーヒーショップの台頭。エスプレッソマシンを用い、アレンジコーヒーを提供する。カフェが、グローバル化、世界的なトレンドになった。 スペシャルティコーヒー アメリカのSCAA(米国スペシャルティコーヒー協会)によるコーヒーの格付けの中でトップに入るもの。コーヒーの味はポテンシャル(粒の大きさ、標高、欠点豆、味)、焙煎(焙煎機の種類、焙煎度合い)、抽出(ドリップ、浸漬式、加圧式)の3つの要素からなるが、それらを独自の定義で格付けし、上から「スペシャルティ」、「プレミアム」、「コモディティ」、「ローグレード」とランク分けした。また、SCAJ(日本スペシャルティ協会)による評価基準もあり、それにより一般のコーヒーとスペシャルコーヒーを区分している。その基準は、生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別、品質管理の適正さ。そして適切な輸送と保管により、劣化のない状態で焙煎され、欠点豆の混入が見られない焙煎豆であること。さらに、適切な抽出がなされ、カップに生産地の特徴的な風味特性が表現されていることが求められる。 シングルオリジン 単一の苗木から収穫されたコーヒー豆を使用したコーヒーのこと。ブレンドをしていないので、それぞれの個性がストレートに味わえる。農作物であるコーヒーは栽培される土地のテロワール(気候・地勢・土壌など)がダイレクトに味に反映される。また農園ごとの栽培環境の違いでも大きく品質が異なるため、国や地域だけではなく、農園や生産者までたどることが、大切だと考えられている。 コーヒーのワイン化 産地や栽培方法、焙煎度合いなどを重視することから、コーヒーがワイン化。よりマニアックな嗜好品としての価値が高まっている。実際、コーヒーをテイスティングするカッピングでは、そのアロマやボディーなどの感想をワインのように表現する。